阿佐ヶ谷姉妹に阿佐ヶ谷の話を聞く | なみじゃない、杉並! -中央線あるあるPROJECT-

阿佐ヶ谷姉妹に阿佐ヶ谷の話を聞く

『女芸人No.1決定戦 THE W』の優勝経験もある人気お笑いコンビ・阿佐ヶ谷姉妹。実の姉妹でもないのに、長らく阿佐ヶ谷の6畳1間のアパートで共同生活を送っていたことでも有名です。そんなおふたりが、隣の部屋が空いたために別々の生活をスタートさせたのが2017年末。この顛末については2018年7月刊行の『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』(幻冬舎)で紹介されていますが、今回はそうした「阿佐ヶ谷での暮らし」にフォーカスしてロングインタビューを実施。姉の渡辺江里子さん、妹の木村美穂さんに、住みやすい街ランキング上位にも入る阿佐ヶ谷について、徹底的に語っていただきました。(撮影協力:カラオケオリーブ阿佐ヶ谷店)

阿佐ヶ谷に暮らし始めて

―このたびはお忙しいところありがとうございます。5年ほど前、杉並区の別のサイト「すぎなみ学倶楽部」で阿佐ヶ谷のお気に入りスポットをドレス姿で巡る記事を作らせてもらいました。今回は敢えて普段着のまま、阿佐ヶ谷をテーマに徹底的に語っていただきたいと思って参りました。どうぞよろしくお願いします。

江里子&美穂:こちらこそよろしくお願いします。

―早速ですが、おふたりが阿佐ヶ谷に住むようになった経緯からお聞かせくださいますか。本の中では、お姉さんの江里子さんが約23年、妹の美穂さんが16年住んでいると紹介されていました。

江里子:栃木から上京してきて、最初は予備校の近くの代々木に住んでいました。大学生の途中までその同じ下宿に住んでいたんですけれど、お友達が阿佐ヶ谷のお店でアルバイトをしていて、そこにときどき遊びに行ったりするうちに、新宿からそれほどかからない場所なのに駅からけやき並木が見えたりして、その感じがあまり都会っぽくなくていいなと思うようになりました。それで、次は阿佐ヶ谷で部屋を探してみようかしらと思って、最初は南阿佐ケ谷駅が最寄りの、成田東に住むようになりました。杉並高校と須賀神社がすぐ近くで、目の前にみかんの木が見えて、のんびりしている感じの場所でした。

美穂:私もそこに遊びに行っています。

江里子:何回か遊びにきてくれたわね。そしてその後、父が単身赴任で東京に転勤することになったのですが、ちょうど私が成田東に住んでいたので、近くの阿佐谷南のマンションを借りることになりました。さらに私の弟も上京して、そこで父と同居するようになったので、私もたまに行ったり来たりしていたんですけれど、父が栃木に戻ることになると、今度はそこで弟と私とふたりで住むことになったんです。

―ご家族も阿佐ヶ谷に住まわれていたときがあったのですね。

江里子:はい。それでしばらく弟とふたりで住んでいたんですけれど、弟も戻ることになったので、阿佐谷南のマンションからもうちょっと手頃なところに、ということで、線路を超えて阿佐谷北に引っ越しました。そこにしばらく住んだ後、同じ阿佐谷北の、今のアパートに落ち着きました。

―今のアパートが阿佐ヶ谷で4軒目ということですね。

江里子:そうですね。成田東、阿佐谷南、阿佐谷北、阿佐谷北、です。だから、上京して代々木に少し住んだ後は、ずっと阿佐ヶ谷ですね。実家の栃木よりも長くなってしまいました。栃木は、4歳から18歳までの14年間しか住んでいなくて。

―長いですね、本当に。

江里子:そうですね。人がひとり成人する以上ですね。

―引っ越しのタイミングはそれぞれあると思うのですが、阿佐ヶ谷を出るという選択肢はなかったのですね。

江里子:出ようと考えたことはなかったですね。自分たちが阿佐ヶ谷の名前を借りてこの活動をするようになる前から、他の選択肢ってあまり考えられなかったですね。

―美穂さんはどうなんですか。コンビを組む前から阿佐ヶ谷のお姉さんを訪ねていらしたわけですよね。

美穂:そうです。「東京乾電池」という劇団の研究所にいた23歳くらいのときにお姉さんと知り合って、成田東のおうちに遊びに行ったのが何回か。

―その頃はどちらにお住まいだったんですか。

美穂:ずっと実家です。神奈川県の相模原市。そこから成田東に行っていました。で、そのときに「阿佐ヶ谷よさそうだな」と思ったのがきっかけです。

江里子:成田東のときから「阿佐ヶ谷いいな」と思ってくれていたの?

美穂:そうそう。若い頃はケーキとか好きだったので、「シュガーローゼ」さん(編集部注:2018年閉店)のケーキが大きくて、いつもお姉さんのところに行ったときに買って帰ったりしていました。美味しいケーキもあるし、中杉通りの雰囲気もいいし、住みやすそうだなというイメージがありました。

―なるほど。

江里子:私が阿佐ヶ谷を強制したわけじゃないですけれど、でも「(阿佐ヶ谷)いいわね」と美穂さんに言われて、「いいでしょ」と返すやりとりはけっこうあったわね。

美穂:そう。だから私もほかの街で探したことはないです。最初から阿佐ヶ谷。

―そういう意味では、美穂さんはご実家を出られてからはずっと阿佐ヶ谷なんですね。

美穂:といっても、同じ区内の天沼や本天沼なので、けっこう北ですね。天沼のアパートに居たとき、建て替えるというので出されて本天沼に移りました。そうしたら阿佐ケ谷駅から本天沼までは20分くらいあるんですよ。それが嫌になっちゃって(笑)。

江里子:遠いところに移っちゃったのね。

美穂:歩けるかなと思ったんだけれどね。家賃が安かったりしたのでいいかなと思ったんですけれど、やっぱりダメだったという。

江里子:で、またいい具合に、私のアパートがちょうど駅と美穂さんちの中間くらいにあったんですよ。

美穂:そう、ちょうどいいところにあったのよね。そこで休憩しちゃって帰らない。

江里子:給水所みたいな、ね。

―阿佐ケ谷駅まで一緒に帰ってきて、お姉さんの家に寄ってしまうのですね。それは今のお住まいのことですよね。厳密には、部屋は別々になったわけですが。

江里子:そうです。

―逆にお姉さんが天沼や本天沼の美穂さんの家に遊びに行かれることもあったのですか?

江里子:あります、あります。

美穂:天沼? 来たかな。

江里子:行った、行った〜。ネタ合わせとかで。薄い布団で寝かせてもらったりしたな(笑)。美穂さんのところはフローリングだったので、フローリングって痛いなと思いながら寝ていたのね。

―ご自分の部屋に帰らずに?

江里子:ネタ合わせとかを夜にしていると、帰るのも面倒になって。その流れで泊まってしまったり、みたいな。

阿佐ヶ谷のお気に入りスポット

―阿佐ヶ谷で好きな場所はどこですか?

江里子:私たちは今北側に住んでいるのですが、北側のロータリーを出て、パサージュというアーケード街に入るちょっと手前、喫煙所のあるあたりに、さるすべりの木があるんです。それがピンクの花をつけていたりすると、ああ、季節が移り変わっているんだな、みたいな感じがあって…。

美穂:いいこと言うわね。

江里子:いいでしょう。仕事が終わって阿佐ケ谷駅に降り立ってロータリーを渡って、あそこのパサージュに入る前にあの木を見ると、ああ、帰って来たんだなと思います。好きな場所のひとつです。

美穂:そうね、嬉しいわね。帰って来たって感じられて。

江里子:ほっとしますね。南に住んでいたときは、中杉通りのけやき並木の緑が大好きでした。父もすごく好きでしたし、年賀状にしていたこともありました。

―そういった自然を感じられるような、何か特別な場所やモノはほかにもありますか?

江里子:美穂さんの場合はね、猫とか犬とか…。

美穂:そう。猫とか犬とかですね。

江里子:あの子は? ソフィア。

美穂:ソフィア、ソフィア。

―ご近所さんのペットですか?

美穂:朝の9時台くらいに仕事に出かけたりすると、ミックス犬みたいな、毛が長いもしゃもしゃしたベージュっぽいワンちゃんと会うんです。お母さんと一緒に朝晩散歩されていて、そのワンちゃんに会うとすごく嬉しいんです。

―どの辺りですか?

美穂:北側の旧中杉通りを散歩されていて。ソフィアっていう名前なんです。

江里子:前々からかな。でもずっといたわね、旧中杉で。

美穂:最初のうちは見ているだけだったんですが、ちょっと触らせてもらったら人なつっこくて、いい子だってことがわかって。そこからお母さんとも仲良くなりました。ソフィアちゃん、最近は目が悪くなっちゃって、でも元気で毎日散歩していてね。

江里子:そう。ご家族に大事にされているんだなっていうのがすごくわかる。それと、以前の記事にも出ていただいたご近所の「八幡煎餅」さんもワンちゃんや猫ちゃんが大好きで、目の前の道を通られたりするワンちゃんと触れ合われたりしているんですけれど、あのへんは野良の猫ちゃんもけっこういるので、土間にキャットフードを置いていたり、ね。エサだけ食べに入ったり出たりしている猫ちゃんたちがいて、私たちもその子たちを横目に見ながら帰ったりしていて、和んでいます。名前はついていないんですけれど、クロ、三毛、キジトラ。

美穂:でもなんか呼ばれてたわね、名前を。ミーちゃんとか、クマちゃんとか。

江里子:チビミーちゃんとデブミーちゃんとか。

美穂:5、6匹いて。そうそう。

江里子:うちのアパートの2階にもどこか涼みやすいスポットがあるのか、ときどき階段を上がった上のところで寝ていたり丸まっていたりします。びっくりさせないようにできるだけドアを静かに開け閉めするようにしているんですけれど。

―なんともほんわかした話ですね(笑)。

江里子:すみません、5年前から変わってない(笑)。

美穂:一緒なのよ、何も変わってない。

江里子:厳選したわけじゃなくこういう話が集まってくるっていうね。

美穂:地味でねぇ(笑)。

江里子:地味がふたり揃っちゃっているから。ひとりだけならまだしも。それにしても、ふたりのジミーズに心地いいって言われちゃう阿佐ヶ谷って(笑)。

―(笑)。休日はどう過ごされていますか? 阿佐ヶ谷から出たりはしませんか?

江里子:そうですね。あまりしないですね。

美穂:近所の健康体操教室とか整骨院とかに行きますね。

―(笑)。

江里子:そうそう。あと、美穂さんはときどき「阿佐谷図書館」に本を借りに行ったり。

美穂:あそこ、近いのよね。

江里子:あとはスーパー、パールセンターのドラッグストア。

―ああ、本にもありましたね。漂白剤を買いに(笑)。

江里子:そんな感じかしら。

美穂:他の街に行こうっていうの、ないものね。何しているのかしら、ほんとに。

―だいたいお休みは一緒なんですか?

江里子:一緒ですね。だから結局、家で洗濯して、ごはん食べて、ここのカラオケしに来たりして終わっていく日々です。どっか行くってないのね。ほんと、どうしたものかしら。

阿佐ヶ谷での生活

―ごはんは、外食と自炊とどれくらいの割合ですか?

江里子:今は半々くらいですかね。

美穂:そうね。

―阿佐ヶ谷で外食する場合は決まったお店が多いのですか?

江里子:そうですね。本にも書いた「朝陽」さん、パールセンター入口の「おさかな食堂」さん、北口の「玄」さんや「べじcafe和み」さん。あとは日大二高通りのほうにある「Recca」さんというビストロみたいなお店があるんですけれど、そこに行ったりしていますね。

美穂:だいたいそこをローテーションで回っています。

江里子:あとは「パブリック」さんとか。以前、「阿佐ヶ谷飲み屋さん祭り」の「阿佐ヶ谷おかえりごはん」という企画のレポートをさせていただいたことがありまして、そのご紹介で。

―なるほど。

江里子:そのときに「パブリック」さんも参加されていて、パリピしか行かないようなお店に見えて中に入りにくかったんですけれど(笑)、おかえりごはんのチケットを使わせていただいたときに行ってみたら、すごく美味しくてびっくりして。美穂さんにも「あそこ美味しいから行ったほうがいい」って言って。

美穂:それで行ったのね。

―今でもおふたりで?

江里子:そうですね。帰り道ですし夜遅くまでやっているので。お嬢さんがいるのでその子と遊ばせてもらったりしています。

―自炊するときは、何か得意なお料理はありますか?

江里子:得意料理はそんなにないわねぇ。美穂さんは豚汁がうまいわね。

美穂:お姉さんはこの前、餃子をたねから作って。宇都宮出身だから餃子が好きなんですね。

江里子:餃子だったりステーキだったり、わりと私が肉関係のお料理が中心だったりして。美穂さんは汁関係。

美穂:汁系が得意なんです。

江里子:あとは豆苗を使ったお料理とか。

―豆苗は育てていらっしゃるんですよね。それも本で読みました(笑)。

江里子:はい。最近は家を空けることも多いので、お水が代えられないといけないと思って、今はあまり表に出したりしていないんですけれど。

美穂:何度か育てて、おひたしにしたりしていますね。

―阿佐ヶ谷でのロケも結構やってらっしゃいますよね。

江里子:はい。阿佐ヶ谷のロケ、自宅のロケでお仕事をいただくことが多くて…自宅ロケ需要が多い芸人ですね、阿佐ヶ谷姉妹って(笑)。

―「タモリ倶楽部」も自宅ロケがありましたよね。

江里子:タモリさんをうちに呼び込んだ女たちです(笑)。

美穂:私たちの部屋は、だから運気がいいんじゃないかと思っています(笑)。

江里子:ああ、それはあるわねえ。

美穂:だから引っ越すのがもったいないなって。

江里子:私、すごく恐かったの。住んでいた部屋で自宅ロケが多かったり、お仕事もおかげさまでなんとか続いてきたりしたので、引っ越しをするというので運気が変わっちゃったりするんじゃないかって。ちょっと広めのところには移りたいけれど、どうかしらと思っていたんです。そうしたら、隣が空いてくれた。

―ああ、ずっとおふたりで住んでいたワンルームから引っ越しを考えていたときに。

江里子:で、隣に移っても、私の運気が下がるんじゃないかしらって。

美穂:そう?

江里子:うーん、ちょっと悩みました。でも姉妹としては、ほら、ふたりでひとつだから、だからなんとかなるのかしらと思ったり。

―お姉さんが隣に引っ越されて、だいたい1年くらいですか?

江里子:そうですね。

―1年経ってみて、運気はどうですか?

江里子:ええ、仕事はなんとかおかげさまで続いていて、でもそれは美穂さんが、元々私たちが住んでいた部屋に居続けてくれているおかげなのか、それともアパート自体が運気のいいところなのか。

阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし 阿佐ヶ谷姉妹 (著)

阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし 阿佐ヶ谷姉妹 (著)

美穂:そうね。だとしたらいいわね。

―それで、隣に引っ越しされてからもご自宅のロケは?

江里子:ありましたね。どっちの部屋も使って。

美穂:お掃除のロケとか。

江里子:実は引っ越しました、新しい家を紹介します、と言って扉を開けて、5歩歩いて「こちらです!」「隣じゃないですか!」のくだりを何回か(笑)。

美穂:よかったよね。

江里子:ネタであまりオチがない分、生活でオチをつけるということをしております(笑)。なんだか、阿佐ヶ谷の話といいながら自宅の話をしていますね(笑)。

阿佐ヶ谷に暮らし続ける

―(笑)。本やインタビューなどでは、高齢化した家族や独身のご友人たちと暮らす「阿佐ヶ谷ハイム」構想を語っていらっしゃいます。このような構想は、これからの時代、とても共感できるアイデアな気がします。

美穂:阿佐ヶ谷ハイムA、阿佐ヶ谷ハイムB、阿佐ヶ谷ハイムCみたいな。

江里子:そういうのがあったらいいですよね。みんなそこに来て、ずっとみんなでお話しして。

―老人ホームとは違う、ゆるやかな共同生活みたいな。

美穂:シェアハウスまでもいかない。

江里子:シェアハウスというと、ひとつのおうちを借り切って、みたいなイメージですけれど、そうではないんです。今回、私たちもずっとふたりで暮らしてきて、キッチンからお手洗いから全部共用だったのが、今、部屋が別々になったことですごく快適になったので。

―プライベートはしっかり保ちつつ、簡単に行き来ができる。みんなでひとつのアパートに暮らす、みたいなイメージですよね?

江里子:そうですね、生存確認がお互いにできるような(笑)。そういう意味ではハイムというのは理想的だなと思って。犬や猫も…今のところは飼えないんですけれど、それこそ犬や猫も行き来できるようなのとかね。

美穂:みんなで飼ったりね。

江里子:阿佐ヶ谷ハイムがもしできたら「予約したい」という方が思った以上にいらして(笑)。

美穂:将来を不安に思う方は結構多いのかもしれませんね。

江里子:独身の方だけじゃなく、「私も今は旦那と子供がいるけれど、いつひとりになるかわからない。阿佐ヶ谷ハイムにお世話になりたくなるかもしれない」って言ってくださるような方もいて。

―そういうときに、阿佐ヶ谷の街の規模感はちょうどよいのかもしれませんね。

江里子:そうですね。特に私たちが住まわせてもらっているご近所は無味乾燥じゃなくって、道を挟んで奥様同士が会話しあっていたり、朝のゴミ出しのときも必ず挨拶があったり。新宿から10分くらいのところなのに、そういう感じがまだ息づいているんだなっていうのが私たちにはすごく居心地がよくて。私たちは今40代ですけれど、これからもずっと阿佐ヶ谷に住み続けていても、私たち自身もこういう関係みたいなものをご近所の方と続けていけたらいいなぁと思って。

―今後も阿佐ヶ谷にずっといらっしゃいますよね?

江里子:そうですね。

美穂:住めたら住みたいですよね。

江里子:追い出されないかぎりは…。

美穂:家賃が払えなくなったりしたら、ちょっと無理だけど。

江里子:できればやっぱり阿佐ヶ谷に住み続けて、阿佐ヶ谷姉妹でい続けられたらなっていうのはありますね。

―芸名に地名がついて、さらにそこに今も住んでいるという芸能人の方って、阿佐ヶ谷姉妹さんの他にいないと思うんです。ハライチさんとか博多花丸大吉さんみたいに、出身だったりゆかりだったりというケースはありますが。

江里子:たしかに。野口五郎さんも野口五郎岳に住んでませんものねぇ。

―そういう意味ではワンアンドオンリーな存在ではないでしょうか。

江里子&美穂:あらー。まあ。

江里子:自分たちの独自性みたいなものって、なかなか自分たちだと見つけられないので、そう言っていただけるとなんか、自分たちのパーソナリティーに自信が持てるというかなんというか(笑)。あと、自分たちではなくて阿佐ヶ谷の鰻屋さんに名づけてもらった名前と言うこともありますし、中川家さんみたいに自分たちの名前をそのまま芸名にしている方たちとも違って、どうしても「阿佐ヶ谷という名前をお借りしている」というイメージが特にあるので。そこは、汚さぬように、ご迷惑をかけないように、と思いますね。

美穂:そういうの、あるわね。

江里子:そう、名前をお借りして活動を続けていられる姉妹ですので、なんらかの形で阿佐ヶ谷に、もちろんずっと住み続けさせてもらって、その上で何かお返しできることが少しでもあったらなというのがあるんですけれどね。

美穂:うん。お返しね。なにかしら。

江里子:あつかましいんですけれど…区民税とか都民税払うのもけっこうギリギリでやっていますしね。

美穂:そういうのあるとドキッとしちゃうわ。

江里子:ドキッなの(笑)?

第二のふるさと、阿佐ヶ谷

―話は変わりますが、例えば地方とかに出かけられるときには、やはり阿佐ヶ谷でお土産を用意したりしますか?

江里子:はい。私たちは和菓子屋の「鉢の木」さんで「あさがやの並木」を買うか、「うさぎや」さんでどら焼きを買って持って行くことが多いですね。

―やっぱりそのあたりが人気ですよね。

江里子:最近は、「カフェラカム」さんでも、「阿佐ヶ谷たまご」みたいに街の名前をつけたものを売っていたりしますよね。

―さすが、お詳しい(笑)。

江里子:八幡煎餅」さんでも、私たちがそこのお母さんの作る餃子が美味しいって言っていたら、ネットでその餃子が話題になって、販売しませんかっていうお誘いがきたらしいです。本業に手が回らないと困っちゃうということでお断わりされたそうなんですけれども。

―そんなことがあったんですか?

江里子:そうみたいなんです。でも、なにか、そういう本来のご商売とは違うけれども、いつもと違うものを名物みたいに売り出すこともいいかもしれないわよね。年に1回とか。阿佐ヶ谷の北側では「ゆうやけ市」をやっていたりして、出店が出たりというのはあるんですけれどね。何か違うものが出たら、それこそお煎餅屋さんで餃子を売るとか、ちょっと違うものを。

美穂:餃子…。

江里子:何かといえば餃子って言っていますね(笑)。

美穂:餃子に参戦するのはたいへんだわ。宇都宮だけじゃなくて静岡もあるから。

江里子:阿佐ヶ谷を餃子の街にしようとするのは無謀よ。それはかなりリスキーよ。

美穂:たしかに、それはちょっとね(笑)。

―でも餃子が有名なお店、わりとありますよ。

江里子:そうですね、「なかよし」さんもあるし「豚八戒」さんもある。

美穂:何軒かあるから。餃子は。

江里子:餃子はちょっとドキドキするのよね。

美穂:敵対している、みたいな。宇都宮の人が。

江里子:私がちょっといばらの道ね。ひとり「ロミオとジュリエット」状態(笑)。

―ご出身が宇都宮だけに(笑)。

江里子:でも「阿佐谷ジャズストリート」もあるし、「阿佐谷七夕まつり」もあるし、イベントも多いですから。

―そういうイベントにふらっと出かけられたりしますか? ジャズストリートでは、それこそパサージュの入口のところで演奏したりしていますね。

江里子:開催されているあの2日間がちょうど仕事の日が多くて、最近はなかなか行けていないんです。でも、何年か前までは、山下洋輔さんの神明宮のライブを聴きに行かせてもらったり、あとはスターロードにある地下のバーのライブを聴きに行ったりしました。

―今年(2018年)の夏、ゲリラ豪雨のときに阿佐ヶ谷は冠水被害にあいましたが、あのときってどうされていましたか?

江里子:あのとき、私たち福井にいたんですよ。駅前のマクドナルドに水が溜まったというニュースをホテルのテレビで観ていて、「ああー!」と思って。

美穂:あれは衝撃でした。

江里子:一番に駆けつけてバケツで水を汲みたいと思いました。駅前の知り合いの不動産屋さんも水で出られなくなったって聞いたので、お手伝いをしに行きたいと思っていたのに、そういうときに限って阿佐ヶ谷にいないというジレンマをすごく感じました。

―そうでしたか、福井ならどうしようもないですね。

江里子:その上、私、ちょっとだけ窓を開けて出かけてしまっていたんです。そのゲリラ豪雨の日に。

美穂:平気だった?

江里子:大丈夫だったけれど、阿佐ヶ谷にもいなければうちの窓も開けてきてしまった…とツイートしたら、逆に、いろんなところの方から「大丈夫ですか!?」って連絡がきてしまって。次の日戻ってきてから、パトロールに行きました。

美穂:でも帰って来たら、なんともなくてね。全然わからない。

江里子:マクドナルドさんもきれいに復旧されていました。でも、まさか全国的なニュースになるまでとは。それも自分たちがいないときに。

―気が気でないですよね。

江里子:気持ちがざわざわしてしまって…。仕事が終わってホテルに戻ったのも夜の10時くらいだったのかな、だから時間も遅いですし、ご近所の方にご連絡するのもあれだなと思って次の日に持ち越しになってしまったんですけれど。でも私たちの住む北のほうは、そこまでではなくって。駅前がとにかく、ねえ。

美穂:駅前が低いんですね。

江里子:八幡煎餅」さんは土間は少し濡れたって言っていたわね。

―お住まいのアパートも大丈夫でしたか?

江里子:私たちのアパートは大丈夫でした。部屋も2階なので。でも、窓を開けてきたのがすごく心配でした。あ、それで、開けっ放しで出かけてしまったということをツイートするのもよくないって。誰か知っている人が忍び込んだらどうするんだって言われて…。だから帰って早々、小さい包丁を持って「(誰か)いますかぁ!?」って言ってから入りました。誰もいなかったですけれど。

―窓を開けて出かけても、豪雨の影響も殆どなく、泥棒に入られることもない。やっぱり運気がいいアパートなんだと思います。本日はありがとうございました。

カラオケオリーブ阿佐ヶ谷店(阿佐ケ谷駅徒歩1分)

今回取材でお邪魔した「カラオケオリーブ阿佐ヶ谷店」は、姉妹のおふたりも歌の練習でよく訪れる、リーズナブルな価格設定が魅力のカラオケボックスです。フードの持ち込みがOKだったり、無料のドリンクバーがあったりと、使い勝手も◎。つい長居したくなる気軽さがポイントです。

北口アーケードに店舗を構えているので、姉妹のおふたりもアクセスしやすい場所です。

北口アーケードに店舗を構えているので、姉妹のおふたりもアクセスしやすい場所です。

喉が乾いては歌の練習はできません。ドリンクバーは重要な要素。

喉が乾いては歌の練習はできません。ドリンクバーは重要な要素。

「おしぼりをまるめたら」歌う阿佐ヶ谷姉妹

「おしぼりをまるめたら」歌う阿佐ヶ谷姉妹

姉妹の持ち歌「おしぼりをまるめたら」を特別に歌ってくれました。

カラオケオリーブ阿佐ヶ谷店
住所 杉並区阿佐谷北2-13-21
電話 03-5373-1653
営業時間 12:00~翌5:00(ドリンクL.O. 翌4:30)
定休日 無休

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※本記事に掲載している情報は2018年12月21日公開時点のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。