荻窪駅から少し足をのばして、個性的な店が集まるエリアを歩く

たとえ駅から遠くても、訪れる価値のある店が並ぶ場所であれば行ってみたい。まち歩きの楽しみ方が多様化する昨今、こうした感覚は多くの方が抱えるようになってきているのではないでしょうか。渋谷駅から離れた閑静なエリアに洒落た店が次々とでき、今では「奥渋谷」と呼ばれて人気を集めていますが、われらが荻窪にも、歩いてでも行きたい“いい感じの店”が集まりつつあるエリアがあります。それは、駅北口を出て青梅街道を西荻窪方面にしばらく進んだあたり。新しい店ができると街の風景が変わります。今回は、そんな新しい風景が立ち上がり始めた一帯を歩きます。

※コロナウイルスの影響により店舗の営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。ご来店時は事前に店舗にご確認ください。

    1. カフェとギャラリーを併設する本屋「Title タイトル」(荻窪駅徒歩約12分)
    2. 「Bakeshop Turquoiseベイクショップターコイズ」(荻窪駅徒歩12分)
    3. 「ガレット&ソックス あるいてる」(荻窪駅徒歩約10分)

カフェとギャラリーを併設する街の本屋「Title タイトル」

まずはこちらからスタート。荻窪駅から徒歩約12分、大型書店から独立した辻山良雄さんが2016年1月にオープンさせた新刊書店「Title」です。『本屋、はじめました』(苦楽堂)といった自著があるほか、各種メディアの取材も多いので、地元客はもちろん「この店で本を買いたい」と全国各地からファンが訪れます。その魅力は、「大型チェーンでは会計を済ますとすぐにレジを立ち去るのが通常ですが、当店ではたいてい二言三言、会話が生まれます。そうしたコミュニケーションが発生しやすい場所、お客様が単なる消費者でなく普段着の自分でいられる場所なのでしょう」という辻山さんの言葉に凝縮されているように思えます。また、店内にいると“正しく本が在る空間の力”といったものも感じられるので、ゆっくりと過ごしていく方が多いというのも納得です。

精肉店だった一軒家をリノベーション。青いひさしが目印です。

精肉店だった一軒家をリノベーション。青いひさしが目印です。

ていねいに選ばれた約1万冊の本が並びます。店の奥に8席ほどの小さなカフェスペースがあります。

ていねいに選ばれた約1万冊の本が並びます。店の奥に8席ほどの小さなカフェスペースがあります。

WEBショップも設けているので、本を梱包・発送するのも辻山さんの仕事。2年間で47都道府県ほぼすべてに送り届けたそう。

WEBショップも設けているので、本を梱包・発送するのも辻山さんの仕事。2年間で47都道府県ほぼすべてに送り届けたそう。

2017年11月に刊行された辻山さんの2冊目の単著『365日のほん』(河出書房新社、1512円)。365冊の本のどれもが短く的確な言葉で紹介されています。

2017年11月に刊行された辻山さんの2冊目の単著『365日のほん』(河出書房新社、1,540円)。365冊の本のどれもが短く的確な言葉で紹介されています。

2階のギャラリーでは、ちょうど『365日のほん』で紹介している本の展示販売を行っていました。

2階のギャラリーでは、ちょうど『365日のほん』で紹介している本の展示販売を行っていました。

カフェでは、北欧フィンランドの伝統料理・カレリアンパイ(450円)とグラスワイン(農民ロッソ、800円)をオーダー。こんな美味しい赤ワインを置く本屋さんなんて、きっと他にありません。

カフェでは、北欧フィンランドの伝統料理・カレリアンパイ(現在は販売終了)とグラスワイン(農民ロッソ、800円)をオーダー。こんな美味しい赤ワインを置く本屋さんなんて、きっと他にありません。

Title タイトル
住所 杉並区桃井1-5-2
電話 03‐6884‐2894
営業時間 12:00~19:30(日曜日は19:00まで)
定休日 水曜・第三火曜

※WEBショップなどについては公式サイトからご確認ください。

てんさい糖を使った焼菓子が名物「Bakeshop Turquoiseベイクショップターコイズ」

続いて、「Title」を出て青梅街道を荻窪方面に少し戻り、「Bakeshop Turquoise」へ向かいます。ここは、西荻窪にあったカフェ・ダイニング「Turquoise」でスイーツを担当していた阿曽菜摘子さんが、店名を引き継いで2015年7月にオープンしたアメリカンテイストの焼菓子店です。一番の特徴は、すべての菓子類に、ミネラル成分が多く上白糖やグラニュー糖に比べて自然で身体にも優しい「てんさい糖」を使用しているという点。「生活の一部になるような、気軽に訪れてもらえる店を目指したい」と笑顔で応じる阿曽さんのこだわりが、ひとつひとつの手作り菓子に詰まっています。コーヒーや紅茶などのドリンクもリーズナブルな価格で提供されているので、イートインでひと休みしていくのもおすすめです。

一面ガラス張りの外観。店を開くなら最初からこの近辺でと思っていたところ、この物件に一目惚れして店舗入居を即決したのだそう。

一面ガラス張りの外観。店を開くなら最初からこの近辺でと思っていたところ、この物件に一目惚れして店舗入居を即決したのだそう。

ガラスケースにチーズケーキやタルト、レジ脇にマフィンやクッキーなどが並びます。

ガラスケースにチーズケーキやタルト、レジ脇にマフィンやクッキーなどが並びます。

生まれも育ちも中央線沿線だという阿曽さん。

生まれも育ちも中央線沿線だという阿曽さん。

使用しているてんさい糖と、右側の写真はその原料である「さとう大根」。

使用しているてんさい糖と、右側の写真はその原料である「さとう大根」。

イートインで秋冬限定のスイートポテトタルト(350円+税)とカフェラテ(345円)をいただきました。

イートインで秋冬限定のスイートポテトタルト(350円+税)とカフェラテ(345円)をいただきました。

Bakeshop Turquoise ベイクショップターコイズ ※取材時の住所から以下の住所に移転しました。
住所 東京都杉並区松庵3-37-20
Instagram https://www.instagram.com/bakeshopturquoise/

いろいろな“好き”が詰め込まれた「ガレット&ソックス aruiteru あるいてる」

ガレットと靴下という一見「?」となるユニークな組合せが並ぶ「ガレット&ソックス aruiteru」。青梅街道を「Bakeshop Turquoise」からさらに荻窪方面へ引き返した場所に、2017年3月にオープンしました。この意外性たっぷりの店の形態は、店主の友香さんが元々テキスタイルデザインを学んでいたこと、クレープ屋でのアルバイト経験があることに由来します。そしてさらに! ビール、日本酒、焼酎、ワインなど置いている酒類も充実し、営業時間も24時までと夜も利用しやすくなっています。「今後は飲食だけでなくイベントにも力を入れたい」と話す友香さんですが、すでに展示やワークショップ、フリーマーケットを行っており、いずれは落語会なども企画しているのだとか。好きなものをどんどん取り込んでしまう柔軟さが、この店の大きな魅力です。

メキシコのタイルが効果的に装飾されている可愛らしい店構え。こちらもやはり場所ありきで店探しをしたといいます。

メキシコのタイルが効果的に装飾されている可愛らしい店構え。こちらもやはり場所ありきで店探しをしたといいます。

店内での飲食はカウンターかテーブルで。

店内での飲食はカウンターかテーブルで。

渋めのボトルがずらりと並ぶカウンター越しの友香さん。着用しているオリジナルスウェットにはクレープを焼く犬がモチーフのイラストが。

渋めのボトルがずらりと並ぶカウンター越しの友香さん。着用しているオリジナルスウェットにはクレープを焼く犬がモチーフのイラストが。

友香さんの作品であるソックスの数々。もちろん販売しています。

友香さんの作品であるソックスの数々。もちろん販売しています。

ガレットはハム、チーズ、玉子、レタスが入った定番・あるいてるコンプレ(600円)を。これにはやっぱりビール(600円)が合います。

ガレットはハム、チーズ、玉子、レタスが入った定番・あるいてるコンプレ(600円)を。これにはやっぱりビール(600円)が合います。

ガレット&ソックス aruiteru あるいてる
住所 杉並区桃井1-2-1
電話 非公開
営業時間 12:30頃〜16:30頃
定休日 木曜

※臨時休業など多いので、お出かけ前にブログをご確認ください。

野菜中心の料理店「ミピアーチェ」

青梅街道と環八通りが交差する四面道まで戻り、今度は環八通りを北上すると右手側に見えてくるのがこの「ミピアーチェ」です。2013年5月オープンと他店よりもひと足早くこのエリアに誕生。18席ほどの規模をイタリアン出身の舩橋英夫さんがひとりで切り盛りしています。メインとなるのはディナーで、口にする料理は美味しくないと満足しないような「食べることが大好きな人」に特に支持されているそう。というのも、野菜は美味しい時期や農家を見極め品目ごとに細かく仕入先を分けたり、お客さんのその日の話し方や体調も察知して味付けを微妙に変えたりしているから。「母親が家族のために料理を作るときってそうですよね?」と笑う舩橋さん。シンプルに食を楽しんでもらいたいという思いが、こうした手間を引き受けるスタイルになっています。

木製のドアが温かい印象を与えます。ゆっくり食事をしてもらいたいからと、駅から離れた場所を選んだのだそう。

木製のドアが温かい印象を与えます。ゆっくり食事をしてもらいたいからと、駅から離れた場所を選んだのだそう。

ゆったりスペースがとられている店内。カウンターも広々としています。

ゆったりスペースがとられている店内。カウンターも広々としています。

テキパキと調理を進める舩橋さん。フレンドリーな人柄で、取材陣ともまずは握手から。

テキパキと調理を進める舩橋さん。フレンドリーな人柄で、取材陣ともまずは握手から。

レジ横に鎮座ましましているかき氷器。なんとほぼ一年中、かき氷もメニュー化されているのです。日本かき氷協会の会長が偶然常連さんだったというこぼれ話も。

レジ横に鎮座ましましているかき氷器。なんとほぼ一年中、かき氷もメニュー化されているのです。日本かき氷協会の会長が偶然常連さんだったというこぼれ話も。

人気のメイン料理、塩豚 トマト・モッツァレラソース(2人前/2480円)。トマトはイタリアから、添えられたルッコラと人参はそれぞれ埼玉と茨城から取り寄せています。

人気のメイン料理、塩豚 トマト・モッツァレラソース(2人前/2480円)。トマトはイタリアから、添えられたルッコラと人参はそれぞれ埼玉と茨城から取り寄せています。

ミピアーチェ移転
住所 杉並区清水1-16-7
電話 03-6913-6120
営業時間 12:00~14:30(L.O13:45) 18:00~22:30(延長日有~24:00)
定休日 日曜

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※本記事に掲載している情報は2018年01月11日公開時点のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。