コミックス『ひらやすみ』登場スポットの聖地巡礼へ

実写化でも話題！阿佐ヶ谷を舞台とした、真造圭伍さんによる人気漫画『ひらやすみ』。作中では、高円寺や荻窪などの杉並区の実在する店がたくさん描かれています。

主人公・ヒロトが働くバイト先のモデルとなった釣り堀から、いとこのなつみちゃんを励ますために連れて行った歩道橋まで。『ひらやすみ』に登場するスポットを聖地巡礼！現地で撮影した写真とともに紹介します。

『ひらやすみ』著・真造圭伍（小学館／週刊ビッグコミックスピリッツで連載中）

29歳フリーターの気ままな主人公「生田ヒロト」。近所のおばあちゃんから阿佐ヶ谷の平屋一戸建てを譲り受け、美大進学のために上京してきた18歳のいとこ「小林なつみ」と暮らし始める。不動産会社で働く「立花よもぎ」をはじめ、ヒロトの周りの悩みを抱えた人々が織りなす、等身大で温かな物語。

阿佐ヶ谷／ヒロトくんのバイト先「釣り堀 寿々木園」

主人公のヒロトくんがバイトをしている釣り堀は、JR阿佐ケ谷駅 南口から徒歩約3分の「寿々木園」。大正12年（1923）創業、100年以上の歴史をもつ老舗です。金魚やフナを釣ることができ、竿と餌のセットを１時間700円で貸し出しているので手ぶらで楽しめます。のんびりした性格のヒロトくんに似合う、ゆったりとした時間が流れる場所です。

コミックス1巻で、ヒロトくんとよもぎさんが初めて出会うシーンも釣り堀が舞台。その他のシーンでも、この釣り堀が度々登場します。

阿佐ヶ谷／ケヤキ並木を見下ろす「阿佐谷北1丁目歩道橋」

コミックス1巻で、ヒロトくんがなつみちゃんを誘って上る歩道橋が、中杉通りの「阿佐谷北1丁目歩道橋」です。同巻には、翌日になつみちゃんが一人で同じ歩道橋を上り、昨日より景色がキラキラして見えるというシーンも。ここから見下ろすケヤキ並木は、杉並区のシンボルとして「杉並百景」にも選ばれています。撮影時はちょうど紅葉の綺麗なタイミング。季節ごと、時間ごとに違った風景が楽しめます。

阿佐ヶ谷／お酒好きなら寄り道したい「いちょう小路」

風情ある飲み屋街があちこちにある阿佐ヶ谷。コミックス4巻で、クリスマス・イヴにヒロトくんとよもぎさんがバッタリ会うシーンでは、背景に「いちょう小路」が描かれています。

JR阿佐ケ谷駅 南口近くにあるこの小路は、わずか50メートルの短い通りに居酒屋やバーがひしめく魅惑の横丁です。昭和風情漂う大衆酒場や、ピザのおいしい立ち飲み店、地元民が集うスナックなど、人気の店が勢ぞろい。はしご酒を満喫できます。

阿佐ヶ谷／昼も夜もにぎわう「阿佐谷パールセンター商店街」

JR阿佐ケ谷駅 南口から青梅街道へと続く「阿佐谷パールセンター商店街」。ひらやすみでは、この商店街内の描写が度々登場します。コミックス4巻で、「いちょう小路」前で遭遇したヒロトくんとよもぎさんが一緒に歩く背景には、中杉通から見える商店街のファサードが描かれています。ちょうど、JR阿佐ケ谷駅と東京メトロ南阿佐ケ谷駅の中間地点あたり。商店街の昼は買い物、夜は飲食店目当てに人が行き交い、常に活気が満ちています。

南阿佐ヶ谷／オムそばを食べたい！大衆酒場「つきのや」

東京メトロ南阿佐ケ谷駅から徒歩約3分、JR阿佐ケ谷駅から徒歩約8分、杉並区役所近くにある大衆酒場「つきのや」。コミックス5巻で、ヒロトくんの掛け持ちバイト先として描かれています。この店の、ヒロトくんとよもぎさんの共通の好物が「オムそば」。ふわふわの卵とマヨネーズ、焼きそば麺を一緒に口に運ぶと、思わず頬がほころぶ味。ビールにも合う一品です。他にもお刺身からホルモン鉄板焼きまでメニュー数が豊富で、壁いっぱいに貼られた品書きにワクワクさせられます。

阿佐ヶ谷／屋上でのんびり過ごせる「阿佐谷けやき公園」

2022年にオープンした「阿佐谷けやき公園」は阿佐谷地域区民センターの屋上部と、建物に隣接した地上部があります。コミックス6巻では、過労で倒れたヒロトくんが退院後、なつみちゃんとこの屋上で再会します。2人が気持ちよさそうに芝生に寝転がっているシーンが印象的。屋上からJR中央線の線路を見下ろすことができ、行き交う電車を眺めながら開放感を味わえます。

高円寺／酔った帰り道の「桃園緑道」、カワウソの親子像

コミックス6巻で、ヒロトくんとよもぎさんが一緒に飲んだ帰り道に歩くのが「桃園川緑道」。旧桃園川（旧桃園川下水幹線）の上に整備された、中野区まで続く緑道です。酔っ払って座り込んだよもぎさんは、緑道の高円寺付近にある「カワウソの親子像」にもたれかかります。ヒロトくんが告白するものの、よもぎさんは泥酔状態で……。このすぐ近くには魚を抱えたカワウソ像もあるほか、暗渠ならではの水にちなんだ生き物のモニュメントがたくさん見られます。

阿佐ヶ谷／おばあちゃんとかき氷を食べた「たいやき ともえ庵」

阿佐谷パールセンター商店街にある「たいやき ともえ庵」。一匹ずつ丁寧に焼く「一丁焼き」という製法で作る、パリッとした薄皮の生地と、たっぷりの餡が特徴のたいやきを食べられます。毎年5月頃から販売されるかき氷もおいしいと評判。コミックス7巻では、平屋に住んでいたおばあちゃんが、ヒロトくんと一緒にかぼすのかき氷を食べるシーンがあります。たいやきもかき氷も、定番の味からユニークな味まで揃い、こだわりを感じられる甘味処です。

 

荻窪／ヒロトくんとなつみちゃんが深夜に歩いた「天沼陸橋」

JR荻窪駅近く、青梅街道が中央線を跨ぐ立体交差「天沼陸橋」。コミックス1巻では、新歓パーティーで酔いつぶれたなつみちゃんをヒロトくんが迎えに行き、一緒に歩いて帰るシーンでこの陸橋が登場します。

街灯に照らされた壁画を背景に、ヒロトくんの後ろをとぼとぼ歩くなつみちゃん。2人が歩いたのは深夜でしたが、晴れた日の昼間にはここから東京スカイツリーを望むこともできます。時間帯によってまた違った景色が楽しめます。

高円寺／ヒロトくんが散歩をしていた「エトアール通り」

コミックス1巻のヒロトくんとおばあちゃんの出会いを描いた回では、ヒロトくんがご機嫌な笑顔で歩く背景に高円寺の「エトアール通り」が描かれています。

JR高円寺駅 南口から「パル商店街」を下り、阿佐ヶ谷方面に曲がるとエトアール通り。ちなみにコミックスでは、ヒロトくんは駅とは逆方面から歩いてきて、この通りに入り入ったようです。飲食店から古着屋まで個性豊かな店が軒を連ね、散歩や買い物にも楽しいエリアです。

阿佐ヶ谷／細長い路地に小さな店が集まる「阿佐ヶ谷スターロード商店会」

コミックス5巻のヒロトくんと高校時代からの友人・ヒデキの回想シーンでは、阿佐ヶ谷の「阿佐ヶ谷スターロード商店会」が登場します。スターロードは、JR阿佐ケ谷駅 北口のすぐにあり夜には赤提灯やバーの看板が光りを放ち、小さな星たちのように怪しげにきらめきます。

コンビニで肉まんを買って歩く2人の後ろ姿が描かれているのは、やや西寄りのようですが、JR阿佐ケ谷駅に近づくほど店が密集してまた違った光景が広がります。

阿佐ヶ谷／阿佐谷パールセンター商店街の「阿佐谷七夕まつり」

「阿佐谷パールセンター商店街」で毎年開催される「阿佐谷七夕まつり」は、地域の夏の風物詩として親しまれています。特に、商店街の各店や地域の人たちが手がける、手作りのハリボテが見どころです。

コミックスでも、七夕まつりにまつわるエピソードが印象的に描かれています。1巻や7巻では、なつみちゃんと大学の友人・あかりんが浴衣を着て歩き、キラキラとした七夕飾りに囲まれてはしゃぐ様子が登場します。背景には焼き鳥・うなぎ料理店「稲毛屋」や、老舗和菓子店「とらや椿山」など、実在の店が見られます。