ドラマ『ひらやすみ』制作陣に聞く、ロケ地秘話

NHK夜ドラ『ひらやすみ』チーフ演出・松本佳奈さん(左)、制作統括・坂部康二さん(右)。漫画で登場する「阿佐谷けやき公園」(杉並区立阿佐谷地域区民センターの屋上フロア)で撮影
真造圭伍さん原作、阿佐ヶ谷を舞台とした人気漫画の実写化で話題!現在放送中のNHK夜ドラ『ひらやすみ』。ドラマでは、杉並区に実在する街並みや店がたくさん登場しています。
今回はなんと、ドラマでチーフ演出を務める松本佳奈さんと、制作統括の坂部康二さんへのインタビューが実現!特別に、ドラマロケ地にまつわる撮影秘話を教えていただきました。
『ひらやすみ』著・真造圭伍(小学館/週刊ビッグコミックスピリッツで連載中)
29歳フリーターの気ままな主人公「生田ヒロト」。近所のおばあちゃんから阿佐ヶ谷の平屋一戸建てを譲り受け、美大進学のために上京してきた18歳のいとこ「小林なつみ」と暮らし始める。不動産会社で働く「立花よもぎ」をはじめ、ヒロトの周りには悩みを抱えた人々が集い、等身大で温かな物語を織りなす。
夜ドラ『ひらやすみ』(NHK総合/2025年11月3日から放送中)
毎週月曜~木曜 22:45~23:00(全20回/5週)
※NHK ONE(新NHKプラス)で同時・見逃し配信中
出演:岡山天音/生田ヒロト役、森七菜/小林なつみ役、吉村界人/野口ヒデキ役、光嶌なづな/横山あかり役、吉岡里帆/立花よもぎ役、根岸季衣/和田はなえ役 ほか
ナレーション:小林聡美 脚本:米内山陽子
「阿佐ヶ谷暮らし」のリアリティにこだわったドラマ撮影

JR阿佐ケ谷駅徒歩20分の平屋で暮らすヒロトくんとなつみちゃん。ドラマでも漫画と同じまちの空気感を映像に落とし込むため、撮影前から阿佐ヶ谷で念入りにロケハンをしたといいます。
松本佳奈さん:ヒロトくんが平屋からバイト先に行くときはどの道を通るのか、日々の生活圏でどんな景色を見ているのか、といったことを考えながら下見をしました。脚本の米内山陽子さんも、このエリアにとても詳しいので、「このシーンで歩くのは〇〇通り」「次のシーンの場所までは徒歩〇分くらい」などの想定が脚本に反映されていて、リアリティのある撮影ができました。
第1回から度々登場する「JR阿佐ケ谷駅」周辺
ドラマの第1回で、上京してきたなつみちゃんとヒロトくんが待ち合わせしていたのはJR阿佐ケ谷駅 南口。バス停前でキョロキョロするなつみちゃんに、ヒロトくんが道路の向かい側から手を振るシーンがありました。第5回でヒロトくんとよもぎさんがバッタリ遭遇するシーンも、JR阿佐ケ谷駅構内のエスカレーターで撮影されたそう。

NHK夜ドラ『ひらやすみ』第5回より。急いでいるよもぎさんと、エスカレーターで立ち止まるヒロトくん
坂部康二さん:JR阿佐ケ谷駅は土日・祝日、中央線快速が通過するため、3・4番線ホームは閉鎖されます。一般の方が使われないタイミングで、撮影をさせていただくことができました。
七夕まつりでにぎわう「阿佐谷パールセンター商店街」
JR阿佐ケ谷駅 南口から青梅街道へと続く「阿佐谷パールセンター商店街」。ここで毎年開催される「阿佐谷七夕まつり」は、地域の夏の風物詩として親しまれています。見どころは、商店街の各店や地域の人たちによる、手作りのハリボテ飾り。漫画やドラマでも、七夕まつりにまつわる印象的なエピソードにぜひ注目してください。

NHK夜ドラ『ひらやすみ』第10回より。七夕まつりに向けたハリボテの制作途中のヒロトくん
松本さん:商店街のみなさんのご協力のもと、七夕まつりが始まる直前の準備期間に撮影を行いました。すでにカラフルなハリボテが吊るされている時期だったので、祭り本番のような状態を映像におさめられました。漫画では、阿佐ヶ谷の不動産会社で働くよもぎさんがハリボテを作るシーンがありますが、ドラマでは実際にこのハリボテを制作して撮影時に飾らせていただきました。
中杉通りのケヤキ並木を見下ろす「阿佐谷北1丁目歩道橋」
スーパーでの買い物帰り、ヒロトくんとなつみちゃんが歩道橋の景色を眺めながら話すシーン。ヒロトくんが「なっちゃん、ココの歩道橋、眺めいいよ」と、嫌々歩くなつみちゃんを誘って上るのが、中杉通り沿いの「阿佐谷北1丁目歩道橋」です。

NHK夜ドラ『ひらやすみ』第4回より。歩道橋から景色を眺めるヒロトくんに「悩みとかないの?」と聞く、なつみちゃん
松本さん:歩道橋のシーンは、日が暮れる直前のマジックアワーの時間帯を狙って撮りました。天気によっては空の色が綺麗に見えないので、何度かスケジュールを調整するくらい、撮影タイミングにはこだわりました。
ヒロトくんとなつみちゃんが深夜に歩いた「天沼陸橋」
JR荻窪駅近く、青梅街道が中央線を跨ぐ立体交差「天沼陸橋」。ドラマの第2回、大学の新歓パーティーで酔いつぶれたなつみちゃんをヒロトくんが迎えに行き、一緒に歩いて帰るシーンでこの陸橋が登場します。

NHK夜ドラ『ひらやすみ』第2回より。壁画が印象的な天沼陸橋を歩く、ヒロトくんとなつみちゃん
松本さん:天沼陸橋では漫画と同じく深夜に撮影しました。オレンジ色の街灯に照らされて、ヒロトくんの後ろをなつみちゃんがとぼとぼ歩いていく、真夜中ならではの雰囲気が演出できたと思います。このシーンのためにオリジナルの楽曲を作り、ヒロトとなつみに歌ってもらいました。口笛はヒデキです。
ヒロトくんのバイト先としておなじみ、あの釣り堀も!
ヒロトくんがバイトをしている釣り堀も、もちろん阿佐ヶ谷に実在するスポット。漫画でもお馴染みですが、ドラマでも頻繁に登場します。ドラマの第3回、ヒロトくんとよもぎさんが初めて出会うシーンもこの釣り堀でした。

NHK夜ドラ『ひらやすみ』第1回より。釣り堀でバイトするヒロトくん
松本さん:実際に釣り堀にロケハンに行った際に、個性的で素敵なお客さんがたくさんいたので、キャラクターづくりの参考にさせていただきました。ドラマの中では、釣り堀のお客さんたちも良い味を出しています。原作の漫画はもちろんのこと、現地で感じた空気をドラマの演出に反映しています。
坂部さん:七夕まつりの準備で、ヒロトくんがバイト先の釣り堀でハリボテを作っているシーンもありますね。また、別の回でヒロトくんが釣り堀に落ちるシーンでは、怪我をしないよう綿密に打ち合わせをした上で、岡山天音さんが実際に池に飛び込む体当たり演技に挑戦してくれました。
居酒屋、たこ焼き店、書店… まだまだある!身近なロケ地
漫画に登場するスポットは、ドラマでもできる限り同じ場所で撮影をしたといいます。特に阿佐ヶ谷周辺では、地元住民にとって身近なあんな場所もこんな場所も。
松本さん:よもぎさんは地域密着型の不動産会社で働いている設定ですが、ドラマでも阿佐ヶ谷に実在する不動産会社の店舗をお借りして撮影をしました。
坂部さん:居酒屋の撮影では、実際の店員さんにもエキストラとしてご協力いただきました。ドラマの第1回序盤で早速登場したヒロトくんがたこ焼きを食べている店も、それから、書店や銭湯も、阿佐ヶ谷の店がロケ地。地域の方々には、本当にいろいろとお世話になりました。
ちなみに、ドラマの撮影では普段はロケ弁を用意することが多いですが、阿佐ヶ谷での撮影時には各自自由に食事をとっていたそうです。阿佐ヶ谷には魅力的な店が多いので、スタッフにも出演者にも、喜ばれたのだそうです。
みなさんも、阿佐ヶ谷をはじめ『ひらやすみ』に登場するスポットや店に立ち寄りながら、杉並散策を楽しんではいかがでしょう。
撮影:伊藤夏希










