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すぎなみ道草のススメ・桃園川暗渠を歩く(高円寺編)

杉並区ではここ数年、暗渠(あんきょ)やマンホール、古地図などのマニアを招いてまち歩きの楽しさを広げる様々なイベントを主催し、静かな注目を集めています。そこで今回は、その企画にかつて従事していた杉並区役所職員の田森亮さんをお呼びし、杉並が誇る暗渠・桃園川界隈を歩いてその魅力を改めて発信しよう!ということになりました。
ナビゲーターは、暗渠研究家として『暗渠マニアック!』(柏書房)や『はじめての暗渠散歩』(ちくま文庫)などの共著書を持つコンビ、髙山英男さんと吉村生さんに依頼。おふたりとも杉並区民で、上記のイベントで何度も登壇者を務め、また、「東京人」(都市出版)や「散歩の達人」(交通新聞社)などの誌上でも精力的に桃園川をPRされています。
おふたりの定義では、暗渠とはもともと川や水路であったところ。今回は、そんな暗渠はもちろん、地形や地図に詳しくない人でも十分に楽しめる散歩を目指しました。まずはさっそく、桃園川の中流域、高円寺周辺を歩いていきます。

※歩いたルートについては、記事の最後に付したイラストマップを参照ください。

「座・高円寺」脇を流れていた支流からスタート

散歩は、高円寺の街のシンボル的存在「座・高円寺」から出発します。写真は左から、髙山さん、田森さん、吉村さん。なぜ田森さんがサングラス姿かというと…はい、みなまで言うな、ですよね。「田森」さんによるまち歩き企画なので、「ブラタモリ」風に仕立ててみました。

ちなみに田森さんが着ているポロシャツの胸元には、熊にまたがった金太郎のイラストが描かれています。これは杉並オリジナルの車止めで、のちに髙山さんの解説として出てくる「暗渠サイン」(ここは暗渠かも?と疑うきっかけになるもの)のひとつとして杉並では名高いアイテムです。

「座・高円寺」を出て、目の前の道を右に曲がり行く先を眺めると、少しくぼんでいるのがわかります。これがかつて川の流れていた証拠で、桃園川の支流の跡。髙山さんが、身体全体を使ったアクションでわかりやすく説明してくれます。

そして、「座・高円寺」を西側に回り込んだところに、その桃園川支流の水源があったといいます。古い地図のコピーでその場所を指し示してくれる吉村さん。鉄池と呼ばれていたそうです。

その水源のあった場所がここで、今回最初の暗渠スポット。写真だとわかりにくいのですが、道の先にぽんと残された空間があって、なんとなく違和感が感じられます。吉村さんによると、野菜などの洗い場として使われていたという証言が残っているそう。

JR中央線の高架下をくぐり、支流が流れていた跡地を辿っていきます。ここは三角池と呼ばれていたあたりで、くぼみが続きます。こうした場所にマンホールが設置されているのも…納得ですよね。

「現在地はここですよ」と髙山さんが見せてくれたのが、暗渠散歩に欠かせない「東京時層地図」というアプリが示すふたつの地図。明治から現代までの東京の地図が表示されるスグレモノで、暗渠マニアのおふたりも、iPad用のアプリをインストールして必ず持ち歩いています。

それでは、どんどん支流跡を進んでいきましょう。水路の名残や繁茂する草が確認できますね。

こうして建物と建物のあいだに細い道として暗渠が存在しているのです。この道の先は環七通りにぶつかります。

大通りを渡ると、護岸の跡に遭遇。これは暗渠散歩するうえで重要なポイントとなる「暗渠サイン」なのだと、髙山さんが力説します。

突然ですが、ここでいったんお昼ご飯の時間。護岸跡のすぐ近くの、環七通りに面したワイルドな雰囲気の立ち食いそば屋「江戸丸」に立ち寄ることにしました。トラックやタクシーの運転手さんなどに愛され、早朝の開店時から客が途切れることなく訪れる2002年オープンの人気店です。

そばのトッピングには春菊やイカゲソの天ぷらが人気だそうですが、セットメニューの丼もののバリエーションが豊富なのもうれしいですね。朝の時間帯では、作りたてのおにぎりも好評なのだとか。

こちらは食べ物が美味しいだけでなく、お店の真裏に暗渠があるので、暗渠マニアのおふたりもたまに朝ご飯を食べに来るそうです。そばやもつ丼を頬張るみなさんの視線の先に、「それ」はありました。

通常はお店の軒先で立っていただくか、環七通り沿いに設置されたテーブルで座して食すか、そのどちらか。この日は雨が降ったりやんだりのお天気でしたので、隣のガレージが食堂に様変わり。このラフさがたまらないです。

江戸丸
住所 杉並区高円寺南5-32-4
電話 非公開
営業時間 5:00~15:00
定休日 日曜

さて、食事も済ませたので、「江戸丸」の真裏の暗渠を改めて確認。

そして反対側に目を転じるとそこに…ありました!これぞ暗渠サインのメジャーどころ、車止め。髙山さん曰く、「かなりの確率で暗渠の存在を示してくれている」のがこの車止めです。

少しずつテンションもあがってきました。細い道をずんずん進んでいきます。

すると続いて現れたのが、暗渠蓋。コンクリート状の蓋が連続して並ぶもので、杉並のほか近隣の世田谷などにも多く設置されているそうです。そして手前に見える、ほのかに黄色が残るコンクリートの物体は橋の跡なのだとか。これは、言われてもなかなかわからないですね。

逆側からも同じ場所を眺めてみました。