杉並区内のJR中央線沿線（高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪、西荻窪）エリアを、ストレイテナーのホリエアツシさんと歩くシリーズ。シーズン2のエピソード2は、高円寺です。2年振りの再訪あり、新しい出会いあり。北へ、南へ、わが庭のように案内してくれたホリエさんの高円寺まち歩きを、みなさんもフォローしてみてくださいね。

ホリエアツシさん
1998年結成の4人組ロックバンド、ストレイテナーのボーカル・ギター・ピアノ。10月14日配信シングル「叫ぶ星」をリリース。今後は11月11日配信シングル「さよならだけがおしえてくれた」、12月2日ニューアルバム「Applause」と、リリースが続く。

ゆるくつながりあう人情がある

どことなく漂う
クセのない下町感

高円寺って年齢や人によって、来る目的はそれぞれですよね。もっと若い頃この街に来て、ライブハウスでバチバチやり合ったりしていたら、ギラギラした思い出の街だったかもしれないけど、僕が高円寺に来る目的は、ご飯、洋服、お風呂…暮らし寄りですね。そのせいか高円寺には下町っぽさを感じます。いい意味でクセのない下町感。2年前の取材で行った小杉湯はその象徴のような場所ですよね。今回もぜひ行ってみたかったんです。あの時ちょうど、隣で新しいことを始める話を三代目から聞いていたので。今年3月にオープンした「小杉湯となり」は、このコロナ禍でも会員制のシェアオフィス的スペースとして新しいコミュニティを作っていました。地方から出てきた一人暮らしの若者にとっても、居心地のいい環境ですよね。三代目も「しがらみなく人と触れ合えるのがいいみたい」って言ってました。

高円寺と言えば、最近気になっていたのは線路沿いの「ジュールヴェルヌコーヒー」。電車から行列が見えてネットで調べてみたらフルーツサンドが人気だった。地元の長崎にフルーツサンドが人気の喫茶店があるので昔から大好きで、結構こだわりがあります。ポイントはパンと生クリームとフルーツの一体感。高円寺で出会ったフルーツサンドは、まずビジュアルが絵本みたいにかわいい！生クリームもおいしい！オーナー夫婦は以前杉並に住んでいてお互い演劇をやっていたそうです。茨城でカフェを始めたけれど「青春時代を過ごした杉並に帰ってきたくて」って、なんかいいですね。

それぞれの持ち味
それぞれの生き方

知り合いから教えてもらった焼き菓子のお店「ステカ＆モジョル」にも、久しぶりに行ってみました。イラストを描く女性オーナーが「表情がアホっぽいでしょ」と言うアイシングクッキーは、絵柄にクセがあってパンキッシュ！

今回の高円寺では町中華で飲みたくて「七面鳥」へ。常連さんたちが自分で瓶ビールを出しているので、僕も1本。昔からある町中華にはかつ丼やオムライスがあって、その街の人たちの食堂という側面がある。食事だけだと15分ぐらいだけど、ビール１本で2、3倍の時間を自分のスタイルで楽しむ、これぞ町中華飲み。

高円寺は飲みに行きたいお店がたくさんありますが、今回の締めは「山形料理と地酒 まら」へ。音楽つながりの知り合いから教えてもらって初めて来ました。高円寺らしい居酒屋ですね！僕より少し上の世代の人たちって、ほどよくずっと青春してる。好きなものは好きなまま、それぞれの持ち味と生き方で勝負している。僕にとっての高円寺は、そういう大人が素敵に遊んでいる街ですね。

2020特別座談会

「高円寺阿波おどり」の原点から未来を見る

左から今泉さん、冨澤さん、ホリエアツシさん、井上さん、早川さん

地域と共に64年続く「東京高円寺阿波おどり」が、今年は新型コロナウイルスの影響で、初めて全面中止となりました。NPO法人東京高円寺阿波おどり振興協会の冨澤さん、早川さん、今泉さん、井上さんが、高円寺と阿波おどりについて、ホリエさんと語り合いました。（以下、敬称略）

焼け野原から復興した高円寺

ホリエ：皆さんの「東京高円寺阿波おどり」との関わりを教えてください。

冨澤：振興協会の専務理事で、事務局長を務めています。

早川：同じく、振興協会で事業推進を担当しています。

今泉：ボランティアスタッフを統率するリーダーチームの副代表です。

井上：私は朱雀連の連長を務めています。（※連：踊りグループの単位）

ホリエ：僕は阿波おどり本番が毎年夏フェスと重なっていて…。前後はよく見てます！終わった後はゴミひとつなくきれいになる。

冨澤：「地元に負担をかけない」という思いで一斉に清掃を行います。

早川：地域の行事として始まり地域に支えられてきましたので。

冨澤：昭和32年、某商店街青年部の発足を記念して開催が決まるも、当初は徳島の阿波おどりを誰も見たことがなく…さすがに阿波おどりと名乗るのは憚られ「高円寺ばか踊り」としてスタートしました。

ホリエ：いきなり高円寺っぽい！

冨澤：空襲で焼け野原になった高円寺は、様々な地域から来た者同士が肩を寄せ合い復興をしてきた経緯からか、どこか寛容で人懐こい街です。

ホリエ：街の歴史と阿波おどりの成り立ちはリンクしますね。

地域行事の新しいカタチへ

ホリエ：今年は阿波おどりが中止になり皆さんどう感じましたか。

早川：この行事の趣旨や意義を考えながら、地域の中でできること、新しいカタチを模索しています。

ホリエ：僕らも色々な地方に行き演奏させてもらうと、歴史あるイベントは街の活性化に繋がっていると感じます。

冨澤：高円寺阿波おどりは地域、行政、交通機関などが連携した枠組みの上で開催されています。苦労を共にする度に仲を深めてきましたので、コロナ禍も結束を固め乗り切れたらと思います。

井上：そのためにも感染予防については厳しいガイドラインを設け練習も自粛してきました。

早川：この夏は「共に、前へ－がんばろう東京・高円寺－」と題し日常空間に阿波おどりのムードを添えました。

ホリエ：ライブもお祭りも人が集まるのが醍醐味だけど、以前のようにはできないですよね。

冨澤：どのようにしたら開催に繋いでいけるか考えています。

今泉：来年こそは活動したいです。

ホリエ：ずっと来たかった「阿波おどり」、来年こそ見たいな！

早川：新しい表現や鑑賞スタイルの開拓に向けて取り組んでいます。楽しみにしていてください！

高円寺＆ホリエさんからプレゼントいただきました！

①STEKA&MJOL アイシングクッキー 5P BOX ANIMAL
ホリエさんが「パンキッシュ！」と評した愉快な動物たち。食べるのがもったいなくなるアイシングクッキー5個入り。

②ホリエアツシさんサイン入り 高円寺オリジナルポストカード
今回の高円寺まち歩き取材で掲載されなかった写真を特別にポストカードにしました。3枚セットで。

老舗銭湯が提案する新しい暮らし

昭和8年創業。87年の歴史をもつ建物も素晴らしく、ミルク風呂や自然回帰水を利用した水風呂も人気。フロント奥のギャラリー・待合室は無料で誰でも立ち寄れる。今年3月隣地に、銭湯つきセカンドハウスというユニークなコンセプトの「小杉湯となり」をオープン。「次のプランもあるみたいで、今後がさらに楽しみ」とホリエさん。

こだわり珈琲と芸術的フルーツサンド

店名の由来はSF作家のジュール・ヴェルヌ。フルーツサンドが大人気の自家焙煎珈琲専門店。地元の八百屋さんから仕入れる季節の果物をたっぷり使い、その断面は芸術的美しさ。試行錯誤して選んでいるというパンは「クリームと一緒にとろける！」とホリエさんも感激。

高円寺が“アートを見に行く街”に！

高架下の駐車場のブロック塀に突如出現するアメコミ風アート。これは2016年春からJR高円寺駅周辺に増殖中のミューラルアート（巨大壁画）のひとつ。アーティスト集団と地域がコラボし、ビルの壁面、お店のシャッターなどに展開するさまざまなアートが楽しめる。

山形の地酒と郷土料理を高円寺で

ホリエさんの「知り合いがよく来ている」というお店。高円寺中央公園前で毎日活気にあふれている山形料理の居酒屋。山形の旬素材も豊富。芋煮はシメでカレーうどんにアレンジも。山形の地酒も日替わりで約15種類。日本酒ラバーのホリエさんもにんまり。

名物オムライスのある町中華

昭和34年創業、地元ファンに愛され続ける町中華のお店。餃子も炒飯も何でも安くておいしいけれど、なぜかオムライスが大人気。ホリエさんも「ふわとろ卵と中のご飯のしっかりと した味付けが絶妙！」と完食。飲み物はセルフサービス。

絵柄が個性的なアイシングクッキー

ルック商店街にある小さな焼き菓子屋さん。カラフルでユニークなアイシングクッキーももともと絵を描く仕事をしていたオーナーの手作り。ポップな色使いと独特のキャラクターはプレゼントにもおすすめ。さらに、ホリエさん推しのスコーンも「めちゃめちゃおいしい」。

※新型コロナウイルスの影響により、営業日や時間などが変更になる場合があります。最新情報については各店舗にお問い合わせください。
※お出掛けの際は、感染症予防のため、咳エチケット・手洗い・アルコール消毒・マスク着用などを心掛けるようお願いいたします。