阿佐ヶ谷姉妹で、すっかり全国区となった杉並区の阿佐ヶ谷。実はかつて「東の両国、西の阿佐ヶ谷」と言われたほどの相撲王国でした。

花籠（はなかご）部屋、二子山（ふたごやま）部屋、放駒（はなれごま）部屋、の3つの相撲部屋が、徒歩20分圏内にあったのです。

現在、杉並区には、この3つの相撲部屋で稽古を重ねた、芝田山親方（元横綱・大乃国）が開いた芝田山部屋があります。今回は、芝田山部屋の現役力士であり、地元の杉並区浜田山出身の浜田山さんと、兄弟子の翔傑（しょうけつ）さんに、親方が修行したかつての相撲の町・阿佐ヶ谷を散歩していただきました。

JR阿佐ケ谷駅前から、京王井の頭線浜田山駅に行くコミュニティーバス「すぎ丸」は15分ごとに発車していて便利です。でも今日は乗らずに、カフェを目指して、いざ出発。

新緑の中杉通りに、力士の髷を整える鬢（びん）付け油の香りが、爽やかに漂います。よく見ると、ゆかたの色と帯の色がコーディネートされていて、力士たちの粋なおしゃれ心に、思わず、きゅん！

ぱんだ珈琲店（阿佐ケ谷駅徒歩約5分）

ケヤキ並木が美しい中杉通り。丸の内線南阿佐ケ谷駅方向に向かって歩くとビルの2階にある「ぱんだ珈琲店」に到着。豊富なパンダグッズが人気の店ですが、カフェメニューも充実しています。せっかくなのでちょっと寄ってみましょう。

「スイーツ親方」というニックネームを持つ師匠に負けず、パフェがよく似合う浜田山さん、と思ったらラテアートのパンダの顔も、浜田山さんにそっくり！

 

 

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スイーツを堪能したら、今度は親方へのお土産探し。

杉並区役所1階にある「コミュかるショップ」では、杉並名物の「すぎぱん」、交流自治体の物産品、杉並区公式アニメキャラクター・なみすけのグッズなど杉並ゆかりの品々が、販売されています。

 

宮野乳業（阿佐ケ谷駅徒歩約9分）

区役所を後に二人は通称観音通りから、荻窪方向に進みます。日大相撲部（花籠部屋のあった場所）の角を左へ曲ると青梅街道、直ぐ右手に、ソフトクリームの名店「宮野乳業」があります。

時に行列ができるほど、阿佐ヶ谷っ子に人気のソフトクリームは、種類も豊富。さっそくいただくことに。80年あまりの歴史を持つ老舗、宮野乳業の3代目社長と歓談しながら、ソフトクリームを堪能した二人は、いよいよ思い出の場所へと向かいます。

 

放駒部屋跡（現在非公開）

かつて放駒部屋のあった建物に到着。和風の玄関は昔のままで当時の面影をとどめています。芝田山部屋で最古参の翔傑さんにとっては、新弟子時代からの数年間を過ごした懐かしい場なのです。

ボゴランマーケット（阿佐ケ谷駅徒歩約10分）

この建物の1階には、現在アフリカ雑貨店「ボゴランマーケット」があります。店長の西森さんは、放駒親方(元大関・魁傑)の息子さん。懐かしい力士との久しぶりの再会に、笑みがこぼれます。貴重な放駒部屋時代のパネル写真を見せていただきました。

浜田山さんの視線の先には…。

ちょうど、このボゴランマーケットの位置は、かつて土俵があった稽古場にあたります。浜田山さんの見上げる視線の先には、神棚が現在も祀られています。

 

ボゴランマーケットは、店内にも店外にも、アフリカの雑貨や、太鼓などの民族楽器が、所せましと並べられています。原色のものが多くとってもカラフル。手頃な価格の雑貨も豊富でちょっとしたプレゼントにも最適な品が揃っています。

 

力士の阿佐ヶ谷散歩の終着点は、かつて修行した放駒部屋の稽古場だった場所。二人は、放駒親方(元大関・魁傑)や、他の力士たちのことを思い出していたのではないでしょうか。

かつての相撲の街・阿佐ヶ谷に、粋な力士の鬢(びん)付け油の香りが、久しぶりに漂った夏の午後でした。