1975年から高円寺を見守ってきたオーナーが運営する立ち飲み

オーナーの台(うてな)さん
高円寺中通り商店街を3分ほど歩くと、3階建てのビルの1階に「アフターアワーズ2005」の看板が見える。夜の帳が下りると、ネオン管が赤く輝き、店内から柔らかい灯りと来店客の笑い声がこぼれ出る。
店内は立ち飲みスタイルで、15人も入れば満席。C字状の木製カウンターの中では、オーナーの台夕起子(うてなゆきこ)さんが、お酒を作り、来店客と軽妙なトークを繰り広げる。同じビルの2階にあるジャズライブハウス「AFTER HOURS 1975」を2020年まで経営していた台さんは、2005年に「アフターアワーズ2005」をオープンした。「当時ちょうど立ち飲みがはやり始めていて、この場所にもある事業者が出店しようとしていました。それを聞いて『私がやればよかった』と悔しくて。ところが当時の建物は老朽化が進んでいてガスが掘れなかったので、その事業者が出店を取りやめたんです。だったら私が挑戦しようと思って」とオープンの経緯を話す。その後、2020年暮れに不意の出火で店舗全焼の憂き目にあったが、2022年、見事に復活を果たした。
燻製のスモーキーな香りがお酒とベストマッチ

チーズ燻製やシシャモ燻製とワインがマッチする
おすすめは燻製。チーズ、たくわん、シシャモの3種類を取り揃え、すべて自家製だ。オーダーが通ると、店内には独特のスモーキーな香りが立ち上る。一口食べると香ばしさが心地よく鼻を通り、お酒との相性も大変よい。ほかにも生ハム、ミックスナッツなど、ちょっとしたお酒のアテをラインナップする。お酒を1杯頼むと、カウンターに置かれたせんべいなどの乾き物を自由に食べられるのも楽しい。ドリンクではハイボールやレモンサワーが人気を集めているという。強炭酸で作るドリンクは爽やかなシュワシュワ感がたまらない。また、ワインもよく飲まれる。赤はカリフォルニアとチリの2種類、白はカリフォルニアの1種類が提供される。赤のカリフォルニアを賞味すると、フレッシュでさっぱりした味わいが印象に残った。
ジャズのBGMと楽しい会話が絶えない店内

カウンターの上はお酒の瓶や生花が飾られ賑やか
BGMには1950~60年代のビバップなどのモダンジャズが流れる。ビル・エヴァンスによるピアノの名曲「ワルツ・フォー・デビー」を聞きながらグラスを傾けると、心地よい気分に浸れる。 店舗は無休で、台さんも休むことなく毎日22時からカウンターに立っている。もちろん、時折お酒を飲みながら。店内は、「AFTER HOURS 1975」時代から50年に渡り高円寺を見守ってきた台さんのパワフルな魅力に引かれた常連客が多く来店し、つねに楽しい会話が絶えない。一方、「外国人観光客や、女性がおひとりでフラッと入ってくれることがあります」という。気軽にお店の扉を開けてみよう。取材時も高円寺に遊びに来ていた女性グループが「オシャレじゃん」と来店する姿を見かけた。「アフターアワーズ2005」を足がかりに、高円寺の飲食店巡りも面白いに違いない。

アフターアワーズ2005の外観
- アフターアワーズ2005
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住所 東京都杉並区高円寺北3-21-1 電話 03-3330-1556 営業時間 月~木曜16:00〜26:00
金~日曜、祝日15:00〜26:00定休日 なし Instagram https://www.instagram.com/afterhours2005/
取材:水野二千翔(高円寺工房)