杉浦さやかの女子さんぽのススメin西荻窪 | なみじゃない、杉並! -中央線あるあるPROJECT-

杉浦さやかの女子さんぽのススメin西荻窪

18歳から一人暮らしをはじめて、荻窪も暮らしやすかったし、井の頭もとても気に入っていた。でも、西荻窪に住んでからは今までと比べものにならないほどに、街そのもののとりこになりました。夕方の商店街を歩いているだけで泣きそうになるくらい、この街を流れるゆるやかな空気を愛していました。ターミナル駅に挟まれながら、個人商店が魅力的すぎて、チェーン店がなかなか入り込めない街。今は少し離れた距離からこの街を見ているけれど、まるで気持ちは、片思い。いつもどこかの通りでイベントが催されて、美味しいお店や魅力的な雑貨屋さんが次々に出来て。西荻在住の友人たちの、楽しそうなことときたら! でも距離ができた分、住んでいる頃には同じお店ばかりに通っていたのが、「せっかく来たのだから」とあれこれ探検するようになりました。いつ来ても楽しくてホッとする、私にとってきっとずっと、一番好きな街。

自分や友人に贈りたいものが見つかるお店「カルーシュ」(カルーシュは2021年に閉店しました)

焼き菓子、カフェ、アンティーク、女性好みのショップがどんどん増え、いつのまにか「乙女ロード」なんて愛称がついていた、南口の商店街。その終点あたりに位置するこの小さなお店は、まさに乙女の名にふさわしいものが、ところ狭しと並びます。可憐なパールのピアスに、ありそうでないシックな晴雨兼用傘、ここで買ったものはずっと好きでいられるものばかり。

2010年にオープンした頃に比べ、徐々に売り場面積を増やしているものが、大阪のメーカー「French Bull」のソックス。イギリスやフランスのブロカントや、作家もののアクセサリーなどを抑え、お店の中央にカラフルに鎮座しています。ここのソックスに惚れ込んだオーナーの島田さん、今やコレクションのすべてが並ぶのだとか。大阪でもなかなかないそうで、まして東京ではこんなにたくさんの種類を取り扱っているのは見たことがありません。素材の良さはもちろん、色もデザインも抜群にかわいくて、履いているだけでなんとなくキマッてしまう。私も一度履いて以来大ファンになり、自分用だけでなく友人への贈りものにもよく使います。プレゼント選びに困るとやってくる、私の駆け込みショップです。

乙女ロードを進み、五日市街道と交差する少し手前にお店はあります。

乙女ロードを進み、五日市街道と交差する少し手前にお店はあります。

ソックスを中心に洋服なども並びます。個人店ならではのラインナップです。

ソックスを中心に洋服なども並びます。個人店ならではのラインナップです。

取材日の直前に入荷したばかりの「French Bull」のソックス。

取材日の直前に入荷したばかりの「French Bull」のソックス。

杉浦さんオススメのアクセサリーも充実しています。

杉浦さんオススメのアクセサリーも充実しています。

島田さんとは同い年で共通の知人もいらっしゃるとか。ローカルトークで盛り上がっていました。

島田さんとは同い年で共通の知人もいらっしゃるとか。ローカルトークで盛り上がっていました。

カルーシュ
住所 杉並区松庵3-1-13
電話 03-3331-6557
営業時間 木〜日13:00~19:00、火15:00~20:00
定休日 月曜・水曜

私の心のベーグル「ポチコロベーグル」(ポチコロベーグルは2019年に閉店しました)

私が西荻窪で暮らしていたのは、築40年以上の庭付きテラスハウス。味わい深い長屋のような風情のせいか、ものづくりをする若い世帯が何組か住んでいました。そのアパートで偶然仲良くなったのが、「ポチコロベーグル」の松尾姉妹。しかし知り合いだからでは断じてなく、私はここのベーグルが好きで好きで、どんなに時間がなくても西荻を通過する時には必ず寄ってしまいます。

味への頑固さが生半可ではない二人らしく、かわいい中に力強いかっこよさがにじむお店。パンパンに詰まって重みのあるベーグルは、弾力があって、噛めば噛むほど味わい深い。姉妹の故郷・仙台の味噌が入った定番の「黒糖くるみ」、これ1個で立派な食事になる「オニオンチーズ」、入れ替わりが楽しみな季節のベーグル。どっしり食べでがあるバナナケーキや、食感がたまらないきな粉クッキーなどの焼き菓子も最高です。料理上手な二人が出会った美味しい出汁や味噌、ジュースなども置かれ、ついあれこれと買い込んでしまう。厳選された素材で丁寧に作られた一品を買いに来る、赤ちゃん連れのお客さんも多く、3歳になる私の娘も赤ちゃんの頃から大好きです。店頭で作ってくれるベーグルサンドは、組み合わせの妙で病みつきになる味。ぜひお試しあれ!

お店は細い階段を上がった2階にあります。

お店は細い階段を上がった2階にあります。

色々な種類のベーグルが並びます。どれも売り切れ必至。

色々な種類のベーグルが並びます。どれも売り切れ必至。

オリジナルのロゴが入った袋も素敵です。

オリジナルのロゴが入った袋も素敵です。

姉の綾子さんと。いつものリラックスした感じでお買い物です。

姉の綾子さんと。いつものリラックスした感じでお買い物です。

階段の壁には杉浦さんが描かれたイラストが!

階段の壁には杉浦さんが描かれたイラストが!

ポチコロベーグル
住所 杉並区西荻南2-22-4-2F
電話 03-5941-6492
営業時間 11:00~19:00
定休日 火曜・水曜

西荻らしいゆるやかなカフェ「JUHA(ユハ)」

この居心地の良さはなんだろう。西日の差す小さな窓、白を基調にした店内にすっと入るブルーグレーの壁。心地よい音量で流れる素敵な音楽。かかっているレコードはジャケットが展示してあり、名曲喫茶のようだけど一切の押し付けがましさがない。主張しすぎず、でもきっちり美味しいコーヒー。素朴な自家製ケーキ。ほっといてくれるけど気のいい「お兄さん」(……と呼ぶには失礼でしょうが)。何もかもがほどよくて、自然と足が向いてしまう。遅くまでやっているし、飲んだあとなどにもついふらふらと、甘いものを食べに。

今回取材して、オーナーの大場夫妻が本当に「喫茶店」を愛しているからなのだなぁ、と謎が解けました。新宿「らんぶる」で長年働いていたご主人、今はなき下北沢「マサコ」にいた奥様。だからメニューに「マサコ」のあんトーストがあったのか! とその謎も解けました。老舗の名物喫茶で働き、プライベートでもあちこちの純喫茶巡りをしていたというお二人。トイレや窓辺に飾られたマッチやシュガーコレクションは、同じく「集める」のが大好きな人間としてにんまり眺めています。かといって懐古趣味なわけではまったくなく、ひとりでも二人でも、どの世代も”等しくくつろげる”という精神を受け継いでいるのだな。

直感的に良い店だと思わせる雰囲気ある外観。

直感的に良い店だと思わせる雰囲気ある外観。

すっきりとした店内。奥に貼られたポスターは、店名の由来にもなったフィンランドの映画作家アキ・カウリスマキ作品のもの。

すっきりとした店内。奥に貼られたポスターは、店名の由来にもなったフィンランドの映画作家アキ・カウリスマキ作品のもの。

大場さんの好みがギュッと表現された本棚も店内を彩る重要なディスプレイ。

大場さんの好みがギュッと表現された本棚も店内を彩る重要なディスプレイ。

ミューク・ペッパルカーカ(北欧の代表的なケーキ)とコーヒーを合わせたケーキセット(870円)。コーヒーカップはオリジナルです。

ミューク・ペッパルカーカ(北欧の代表的なケーキ)とコーヒーを合わせたケーキセット(870円)。コーヒーカップはオリジナルです。

西日のあたる入口近くのテーブル席でひと息。

西日のあたる入口近くのテーブル席でひと息。

JUHA(ユハ)
住所 杉並区西荻南2-25-4
電話 050-3562-0658
営業時間 火~土13:00~23:30、日13:00~22:00 ※平日は18時から1時間休憩
定休日 月曜

安くて美味い、スタイリッシュな大衆酒場「サレカマネ」

飲む時は、決まって焼き鳥「戎」の南口店ばかり。気軽に外席でさっと飲めて、美味しい居酒屋が星の数ほどあるこの街でも、なかなかあそこまで気楽な店ってなかったから。それが、在住の友人たちがこぞって通い始めた「サレカマネ」に連れて行ってもらい、もうひとつ「いつもの店」に出会えた嬉しさを噛み締めました。

長年飲食店で働いてきた佐藤さんご夫妻が、2014年に開いたお店は、南米の香りがする少し不思議な「大衆酒場」。ご夫婦で旅したブラジルで、リオデジャネイロの街角の立ち飲み屋さんに感銘を受け、「こんなお店を開きたい」と思われたのだとか。カラフルな内装や、ブラジル風揚げ餃子の「パステウ」、この日私が食べたソーセージなどのメニューにその旅の記憶が刻まれています。オーナーご自身が気軽に入れる雰囲気が好きで、立ち飲みスタイルにしたそうなのだけど、椅子も置いてあるのがありがたい(腰痛持ち)。そして何を注文してもきっちり美味しく、手が込んでいるのにとってもリーズナブル。人気のかにみそグラタン、みその甘みと苦みとチーズが絡んで……たまらない。一口食べるたびに「うまっ!」という言葉しか出てきません。2品と美味しいワインでお腹いっぱい大満足で、1600円ぽっきり。週3で通う週もあるという友人が、羨ましい。

一面ガラス張りなので店内の様子がすぐわかります。初めてでも安心です。

一面ガラス張りなので店内の様子がすぐわかります。初めてでも安心です。

立ち飲み屋ですがゆったりと飲める店内。ラテンな色遣いが印象的です。

立ち飲み屋ですがゆったりと飲める店内。ラテンな色遣いが印象的です。

佐藤さんの立つカウンターにはお燗箱まで置かれています。

佐藤さんの立つカウンターにはお燗箱まで置かれています。

料理、飲み物ともに和洋問わず揃います。この日は赤ワイン(600円)に合わせて、生ソーセージとヴィネグレッチソース(450円)、かにみそグラタン(550円)を注文。

料理、飲み物ともに和洋問わず揃います。この日は赤ワイン(600円)に合わせて、生ソーセージとヴィネグレッチソース(450円)、かにみそグラタン(550円)を注文。

立ち飲みでもこうして座って飲めるのはありがたいところですね。

立ち飲みでもこうして座って飲めるのはありがたいところですね。

サレカマネ
住所 杉並区西荻北3-20-9
電話 03-6915-0400
営業時間 平日17:00~24:00 土日祝15:00〜24:00
定休日 水曜

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※本記事に掲載している情報は2016年03月01日公開時点のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。