100万人の夏祭り「東京高円寺阿波おどり」をもっと楽しむ!

2日間で100万人以上を集め、もはや説明不要な東京有数の大イベントですが、桟敷席の予約もなくふらっと訪れようとすると、案外どこに行けばいいのか迷ってしまうもの(すごく混雑しますし)。そこで今回は、大会参加の常連でもある江戸っ子連で連長代理を務める生粋の高円寺っ子・杉谷ゆき絵さんと、ボランティアの「チームハピネス」の学生代表・小熊隼人さんというおふたりに、阿波おどりを楽しむためのガイドを依頼しました。定番の見どころから当事者だからこそ知るおすすめスポットまで、ご案内いただきます。

※イベントの詳細情報はNPO法人東京高円寺阿波おどり振興協会のHPをチェック!

杉谷さん(左)と小熊さん。頼りになるガイドです。

杉谷さん(左)と小熊さん。頼りになるガイドです。

見どころその1「中央演舞場」

まず向かったのは、「中央演舞場」。JR高円寺駅南口から徒歩30秒ほどで、駅利用者が最初に目にするメイン会場です(JR高円寺駅からは南口に出るよう誘導されます)。どの演舞場よりも長いこのコースでは、25分間ノンストップで踊り続ける連を観ることができます。「一番混むけれど、やっぱり一番盛り上がる場所ですよ」と杉谷さん。 当日午後5時、イベントはカウントダウンで始まります。「ここで連が一斉に動き出す時の高揚感を味わって欲しいですね」と小熊さんは言います。初めての方は、混雑していますがこのメイン会場に足を運び、まずはイベントの熱気を体感してみてはどうでしょうか。

杉谷さんも所属する江戸っ子連の演舞。ばっちりポーズが決まっています。

杉谷さんも所属する江戸っ子連の演舞。ばっちりポーズが決まっています。

ゆるやかな上り坂を奥から手前に連がやって来ます。当日はこの日常風景も一変。

ゆるやかな上り坂を奥から手前に連がやって来ます。当日はこの日常風景も一変。

中央演舞場(写真撮影スポット)

見どころその2「みなみ演舞場」

「せっかくだから一杯飲みながらゆっくり楽しみたい」という方には、「みなみ演舞場」がおすすめ。というのも、ここが一番飲食しながらリラックスして鑑賞する観客が多いのだそうです。場所は、「中央演舞場」から高南通りを青梅街道方面に南下したところ。JR高円寺駅から離れ人混みも少し緩和される環境で、照明も明るく、見通しが良いのも高ポイントです。(南下する途中にも屋台があるのでそこで買い物もできます。飲食で出たゴミは、持ち帰りいただくか、会場全体で小熊さんたちボランティアの皆さんが回収を行っています。お揃いのTシャツが目印です。)

観客の列は何重にもなりますが、圧迫感なく鑑賞できます。

観客の列は何重にもなりますが、圧迫感なく鑑賞できます。

演舞を観ながら飲むビールは格別の味。

演舞を観ながら飲むビールは格別の味。

みなみ演舞場(写真撮影スポット)

見どころその3「ひがし演舞場」

道幅が狭いので連と観客との距離が近く、最も熱量が高いのが、「ひがし演舞場」。高円寺駅北口の、高円寺純情商店街の一角にあります。道路も短いので演舞時間も15分と最短。「だから120%の力を出し過ぎて、倒れる連員も今までにいたのよ」と杉谷さんは言います。踊り子にとっては観客が奏でる2拍子の拍手が心地良く、夢見心地で踊り尽くす。小熊さんも「ここは特にお客さんと踊り子の一体感がヤバいですね」と話します。

狭いスペースにエネルギーが凝縮されるのが、この演舞場の醍醐味。

狭いスペースにエネルギーが凝縮されるのが、この演舞場の醍醐味。

当日をイメージして杉谷さんにポーズを決めてもらいました。

当日をイメージして杉谷さんにポーズを決めてもらいました。

ひがし演舞場(写真撮影スポット)

お土産「豊喜屋」

初めて「東京高円寺阿波おどり」を観に来たら、お土産のひとつでも買って帰りたいところ。そんなときは、高円寺パル商店街にある「豊喜屋」へ。大正13年から続く歴史ある寝具店でありながら、店内の一区画で踊り子のための道具などを扱います。おすすめのお土産は印籠(大:1701円、小:853円)。昔は中に小銭やタバコ、薬を入れて腰にかけて使う人が多かったとか。このほか、手ぬぐいや草履、ちょうちん袋など、ここでしか買えない商品は外国人観光客にも好評です。

日用品から阿波おどり用品まで揃います。

日用品から阿波おどり用品まで揃います。

オリジナルの柄の入った手ぬぐいも人気商品。

オリジナルの柄の入った手ぬぐいも人気商品。

「阿波おどり」の箔押し印籠。大小あるので目的に応じて選べます。

「阿波おどり」の箔押し印籠。大小あるので目的に応じて選べます。

豊喜屋
住所 杉並区高円寺南3-58-27
電話 03-3311-8061
営業時間 10:00〜20:00
定休日 不定休

稽古「阿波おどりホール」

本番当日まであと僅かということで、杉谷さんの提案で、「阿波おどりホール」を見学させていただくことに(座・高円寺の地下にある阿波おどり専用の練習場)。「どこかの連が稽古しているはずだから」と足を運ぶと、高円寺ルック商店街のメンバーを中心に構成された菊水連が練習中。取材スタッフも思わず見入ってしまったほどの迫力や息の合った動きが、さすがの老舗連です。

※ここは阿波おどりの練習や普及事業に優先的に使用するホールです。見学をご希望される方は各連に直接お問合せください(練習予定及び各連の連絡先はNPO法人東京高円寺阿波おどり振興協会まで)。
※「東京高円寺阿波おどり」当日の昼間に、この座・高円寺を会場に「座・高円寺阿波おどり」と題したステージがあります。

入口脇には阿波おどりの歴史が描かれたパネルが。これを読めば、予習もバッチリ。

入口脇には阿波おどりの歴史が描かれたパネルが。これを読めば、予習もバッチリ。

菊水連の皆様。稽古中にお邪魔しました。

菊水連の皆様。稽古中にお邪魔しました。

阿波おどりホール(座・高円寺内)
住所 杉並区高円寺北2-1-2

打ち上げ「極楽屋」

最後に訪れたのは、座・高円寺から高円寺駅に戻る途中のガードレール下にある「極楽屋」。杉谷さんたち江戸っ子連が練習後にやってくることもある、地元住民にも愛される大衆酒場です。この日は、本日の三点刺身盛り(1200円)、牛すじぽん酢(380円)、極楽メンチ(580円)と杉谷さんのおすすめをオーダー。「3000円あれば沢山飲めて、お腹いっぱいになる。チェーン店よりはここでしょ。阿波おどりを観に来た帰りに、余韻に浸りながら一杯という方はこんなお店はいかが?」とのご提案を頂戴しました。

お店はガードレール下ですが道路に面しています。

お店はガードレール下ですが道路に面しています。

ほぼ毎日通っているという常連さんも多く、店内はいつも賑わっています。

ほぼ毎日通っているという常連さんも多く、店内はいつも賑わっています。

ビールが大好きなお二人。ガイドも終えたので改めて乾杯!

ビールが大好きなお二人。ガイドも終えたので改めて乾杯!

顔なじみの店長と。ちょっとした雑談で盛り上がります。

顔なじみの店長と。ちょっとした雑談で盛り上がります。

極楽屋
住所 杉並区高円寺南4-49-1
電話 03-3337-1212
営業時間 16:00〜1:00
定休日 不定休

演舞場、土産、酒場、そして稽古風景まで、阿波おどりに関係あるスポットを幅広く紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。これがないと夏は終わらない、そんな言葉も聞かれるほどの魅力は、実際に体感してみないとわかりません。演舞場も全部で8ヶ所あり、今回紹介した以外でもその場所特有の楽しみ方があります。また、高円寺には阿波おどり帰りに立ち寄りたくなる酒場も実に多く、目移りしてしまうほどです。ということで、まずは“観る阿呆”として、「東京高円寺阿波おどり」を楽しんでいただければと思います。

※本記事に掲載している情報は2015年08月17日公開時点のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。