阿佐ヶ谷飲み屋さん祭り実行委員長と一緒に朝まで飲み歩く

しっかりとした“飲み屋文化”が残る街、阿佐ヶ谷。スターロード、一番街、川端通り、いちょう小路などの飲み屋街が駅周辺にあり、毎夜酒好きたちを楽しま せてくれます。そして、店の種類もよりどりみどりなので、その日の気分や“お財布事情”に合わせて選べるのも有難い限りです。今回は、そんな阿佐ヶ谷の飲 み屋の魅力を発信し続ける人気イベント・阿佐ヶ谷飲み屋さん祭り実行委員長の森口剛行さんにガイドを依頼。気軽に寄ってみてと太鼓判を押す6軒を、一緒に暖簾をくぐりながらご案内します。

阿佐ヶ谷飲み屋さん祭り実行委員長の森口さん。阿佐ヶ谷の“飲み屋文化”を盛り上げる仕掛人です。

阿佐ヶ谷飲み屋さん祭り実行委員長の森口さん。阿佐ヶ谷の“飲み屋文化”を盛り上げる仕掛人です。

阿佐ヶ谷屈指の人気居酒屋「越川」

一軒目は、いちょう小路の「越川」から始めましょう。ここは、「色々な人と知り合えるのが飲食店の醍醐味」と語る阿佐ヶ谷出身の店主が営む大衆居酒屋。開店直後から常連客が集まり、遅い時間帯には若者客で賑わう人気店です。常連客には1年に400回以上(!)訪れる強者もいるとか。愛される理由は、店主やスタッフの飾らない人柄に加え、60種類以上ある美味しい肴がリーズブルにいただけるから。先代の店から受け継い だ木彫りの飾り物も、程よいアットホーム感を演出しています。

阿佐ケ谷駅南口徒歩2分。いちょう小路を駅側から入ってすぐです。

阿佐ケ谷駅南口徒歩2分。いちょう小路を駅側から入ってすぐです。

一番人気の定番メニュー、刺身の盛り合わせ(一人前980円、写真は二人前)。

一番人気の定番メニュー、刺身の盛り合わせ(一人前980円、写真は二人前)。

店内各所に飾られた木彫りがアットホームな雰囲気をつくります。

店内各所に飾られた木彫りがアットホームな雰囲気をつくります。

居酒や 越川
住所 杉並区阿佐谷南3-37-5
電話 03-3220-5477
営業時間 16:30~3:30(日~24:00)
定休日 無休

阿佐ヶ谷の人生が交差する「十六夜(いざよひ)」

お腹も満たされてきたので、今度は粋な話を肴に酒を楽しみたいところ。そんな時にピッタリなのが、いちょう小路の駅側入口すぐにある「十六夜」です。常連客には大学教授や編集者などが多く、阿佐ヶ谷らしい知的な雰囲気が漂います。とはいえ店内は照明が明るく、カウンターは客同士で語らうのに絶妙な7席のみで、意外と一見さんも馴染めて一安心。毎夜、酒のウンチクはもちろん、阿佐ヶ谷のディープな歴史の話まで花が咲き ます。生花が飾られ、香りへの気遣いも女性には嬉しいところです。

店名の「十六夜」は「いざ酔い」との言葉遊び。

店名の「十六夜」は「いざ酔い」との言葉遊び。

赤白揃う日替わりのワインのほか、銘酒・東北泉がこの店の定番。

赤白揃う日替わりのワインのほか、銘酒・東北泉がこの店の定番。

奥に立つのがご主人。歌舞伎や植物などに造詣が深く、若い客は思わず聞き入ってしまいます。

奥に立つのがご主人。歌舞伎や植物などに造詣が深く、若い客は思わず聞き入ってしまいます。

十六夜
住所 杉並区阿佐谷南3-37-5
電話 03-5397-1664
営業時間 19:00~1:30
定休日 不定休

ブルース初心者も大歓迎「CHICAGO」

夜も深まってきました。次は趣を変えて、渋いシカゴブルースに酔いながらグラスを傾けます。同じいちょう小路に位置する「CHICAGO」です。細い階段を足元に注意しながら上がると、一見コワモテながら笑顔がチャーミングな店主が快く迎えてくれます。レコード、CDと合わせて900枚ほどあるブルースのコレクションは都内随一。「土日にはライブ(チャージ600円)も開催しているので、ブルース初心者でも気軽に 飲みに来て欲しい」と店主が語るように、ディープでも実にフレンドリーなブルースハウスです。

ランプに照らされたピンク色の看板が目印。

ランプに照らされたピンク色の看板が目印。

あちこちにポスターが貼られた店内。黒いサウンドが響きます。

あちこちにポスターが貼られた店内。黒いサウンドが響きます。

この店のほかにも阿佐ヶ谷に2店舗を経営する店主。

この店のほかにも阿佐ヶ谷に2店舗を経営する店主。

CHICAGO
住所 杉並区阿佐谷南3-37-5 2F
電話 03-3398-6171
営業時間 18:30~27:00
定休日 無休

お袋の味が楽しめる「Maco maman(マコ マモン)」

さて、千鳥足でいちょう小路から一番街に向かいます。まずは小腹も空いてきたので、ママが一人でカウンターに立つ お袋の味が評判の「Maco maman」へ。ここでは、少し飲み疲れた胃腸にも優しい、国産の素材にこだわった自慢の小皿料理が味わえます(300円均一。酒類も500円均一と、明朗会計が有難い!)。そんな料理の美味しさに加え、オープンして1年の店内は清潔で明るいので、若い女性の一人客も多いのだそう。ママが仲介役となって、 一人客同士で生まれる交流もこの店の楽しみのひとつです。

マコちゃんのママで「Maco maman」。看板の文字はママがデザイン。

マコちゃんのママで「Maco maman」。看板の文字はママがデザイン。

料理は日替わり。今回は、いんげんの胡麻和えなどをいただきました。

料理は日替わり。今回は、いんげんの胡麻和えなどをいただきました。

清潔で明るい店内。カウンターも広々としているのが嬉しい。

清潔で明るい店内。カウンターも広々としているのが嬉しい。

Maco maman
住所 杉並区阿佐谷南2-20-6
電話 090-1772-4462
営業時間 18:00~2:00
定休日 火曜

人と人を繋げるバー「Ma⇔Blue⇒Dome(マーブルドーム)」

まだまだ飲み足りない我々は、更にディープなスポットに足を運びます。「Maco maman」の向かいにある「Ma⇔Blue⇒Dome」です。ここは、ミュージシャンの青木リョータ氏が 営む「人と人を繋げる」がコンセプトの手作りバー。「最初は人との距離感が難しくて半年でやめたくなった」ということですが、すでに7年以上続いていま す。カウンター6席のみの店内では、日本一狭いDJイベントが開かれたり、ミュージシャン仲間が弾き語りを始めたりと、毎晩何かが起こります。森口さん曰く「阿佐ヶ谷の若者飲み屋文化を牽引する店」です。

青木氏のゾンビフェイスが看板です。目立つ!

青木氏のゾンビフェイスが看板です。目立つ!

この日、客のリクエストに応えてカウンターが即席ライブ会場に。

この日、客のリクエストに応えてカウンターが即席ライブ会場に。

どんな遅い時間になっても、皆で乾杯!

どんな遅い時間になっても、皆で乾杯!

Ma⇔Blue⇒Dome
住所 杉並区阿佐谷南2-21-12 浅賀店舗1F西側
電話 080-5884-0274
営業時間 20:00~夜明けまで
定休日 無休

深夜に染みる優しいおでん「O.Denbar(オデンバー)」

さあ始発まであと少し。そんなシチュエーションでオススメしたいのが、さらに一番街を奥に進んだところにある 「O.Denbar」です。まだまだ酒を求める体を、さらっと食べられるおでんが癒してくれます。明け方まで営業しているので、飲み屋の店主が集まる側面もあり、本格的に盛り上がるのも深夜0時を過ぎてから。店主からは「一番街は入っちゃうと楽。店も客もなんとかやっている感じ。飲み屋の中でのつながりは深そうで浅かったり、浅そう で深かったり。そこが面白い」といった意味深な話が。様々な人間模様を見てきた店主の個性が光る店です。

赤提灯の「おでん」が目印。

赤提灯の「おでん」が目印。

おでん盛り合わせのほか、おでん出汁のうどんも胃もたれせずシメにオススメ。

おでん盛り合わせのほか、おでん出汁のうどんも胃もたれせずシメにオススメ。

日本酒や泡盛の一升瓶がまさに「豪快」に並ぶカウンター。

日本酒や泡盛の一升瓶がまさに「豪快」に並ぶカウンター。

O’DENBAR
住所 杉並区阿佐谷南2-21-15
電話 03-3318-6084
営業時間 23:00ごろ~5:00ごろ
定休日 日休

阿佐ヶ谷飲み屋さん祭り実行委員長に案内いただいた飲み歩き、いかがでしたか。最近では「飲み屋はサードプレイス(自宅や職場とは異なる第三の居心地の良い居場所)」といった表現も散見されますが、まさにどの店も誰かの「サードプレイス」として機能している、素敵な空間でした。そして、どの店も、店主自身が「何よりも飲み屋という空間を愛している」ことが感じられました。美味しくて楽しいがある場所。そんな阿佐ヶ谷の飲み屋、今回紹介した店を起点に巡って みては如何でしょうか。ただし、飲み過ぎには気をつけて!

まだ夜は明け切っていませんが始発が動き出しました。気をつけて帰りましょう。

まだ夜は明け切っていませんが始発が動き出しました。気をつけて帰りましょう。

※本記事に掲載している情報は2015年03月18日公開時点のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。