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すぎなみ道草のススメ・桃園川暗渠を歩く(高円寺編)

本流を離れてさらに別の支流へ

さて、桃園川緑道はまだ西に(阿佐ヶ谷方面に)続きますが、一行はここでまた支流を辿って北上します。ここはエトアール通り商店会の西端のあたり。そこで足元に目を向けると…これも川に関係する痕跡のはずですよね。

「そのとおりです。これは橋の跡ですね」とその場に立ち止まると、おもむろにしゃがんで撫で始める(愛で始める)髙山さん。決して見ることのできない地下の水脈から、見えない大きな力を受け取っているかのようです。(※道路上で危険なので決して真似しないでください。)

橋跡をエトアール通り商栄会側から見た一枚。ここで、右の方に小さく車止めが見えるのがわかるでしょうか。この道も、桃園川の支流の跡地なのです。今度はここを右(上流)に遡っていきます。

どんどん遡るとJR高架下に到達します。すると…おお!まるで車止めたちが輪になって踊っているような風景が広がっています。暗渠部分に車が入れないようこれだけの数で守っているわけですが、「そうなんです、だからここは暗渠のサンクチュアリなんです。私はアンキュチュアリと呼んでいます(笑)」と髙山さん。

暗渠散歩も佳境に入ってくると、こうした佇まいにグッとくるようになってきますね。蓋があって苔が生えていて…。この暗渠を進んでいきます。

道端には井戸なんかもあったりします。

というわけで、次の目的のお店、猫雑貨&猫ぎゃらりー「猫の額」に到着。写真の左側に見える小道が一行の歩いてきた暗渠で、田森さんが「そうか、ここに出てくるのか」としきりにつぶやいています。「街を仕事のフィールドにしている私みたいな区役所職員でも新鮮な発見がある。これが暗渠散歩の楽しみのひとつですねえ」。

お店に入ると、看板イラストも手掛けたという切り絵作家のさとうみよさんの個展が始まっていました。このほかにも、店内には所狭しと一点物の猫雑貨など7000点ほどの商品がずらりと並びます。

専門性の高いお店ゆえ、ここを目指して世界中から観光客がやってくるそうです。

店主の木村慎一さん。脇の小道が水路だったころ、ここでザリガニ釣りをしたという方の話を聞いたことがあると教えてくれました。実はこの「猫の額」から、商店街が中通りから北中通りに変わります。それは、もともとこの水路が高円寺村と馬橋村に分けていたことに由来します。だから今でも、同じ高円寺の街でもお参りに行く神社が異なるそうです。

木でできたイスの下にあるコンクリートは橋跡の名残。数年前、お年寄りが躓いて転んでしまったので、削ってこのようなかたちになっているそう。この部分も削らなかったのは、お店が傾いてしまうから。

ここでみんなで記念撮影。写真では見えにくいですが、髙山さんが持つのは暗渠散歩にいつも携帯しているという猫じゃらし。猫は暗渠に多く棲息しているんですって。

猫の額
住所 杉並区高円寺北3-5-17
電話 03-5373-0987
営業時間 12:00~20:00
定休日 木曜(祝日は営業)

歩いてきた支流のさらに西側に、実はもう一本似たような小さな支流があります。そこで再び暗渠蓋が登場。でも、ここには微妙な段差が残されていて、これまで見てきたものと印象が異なります。

「この落差は何ですか?」。田森さんも不思議がっていたところ、「コンクリートの護岸と蓋で固められたかつての水路をぶった切るかたちで道路が通されたのでしょう。そのときの川の断面がこれです。つまりこれはこの近辺の都市化・近代化を物語る歴史遺産に値するものですよ!」とすかさず髙山さんからコメントが入ります。

散歩の終わりは暗渠カレーでフィニッシュ

さて、無事に散歩も終えたので、最後は妄想インドカレーを標榜する「ネグラ」に寄っていきましょう。ここは暗渠マニアのおふたりに縁のあるお店で、高円寺で「杉並暗渠展」という展示を行った際、スピンオフ企画として店内で「妄想暗渠カレー展」なるものを開催しています。そのとき、新たに「桃園川カレー」という商品まで開発されたのだそうです。

こちらが吉村さんプロディースの暗渠カレー(今回バージョン)。桃園川に思いを馳せつつ、真ん中のパパドを暗渠蓋に見立ててつくられています。

蓋を開けると、川(カレー)が現れるという凝った仕掛けになっています。このお店のカレーは添えられる副菜が実に豪華で、この日は老酒に浸かったプルドポーク、コリンキーとセルバチコのサラダ、つるむらさきとスマックというスパイスのおひたし、ソルダム、青首大根のウールガイの5種が並べられていました。

暗渠散歩、おつかれさまでした。ずっと暗渠に沿ったお店を巡ってきたので、最後も「暗渠飲み」と行きたかったのですが、やはり暗渠カレーをつつきながらやる一杯は最高ですね。「桃園川にはまだまだ魅力的な暗渠スポットがたくさんありますよね。次は阿佐ヶ谷周辺を歩きましょう!」と盛り上がっていました。

妄想インドカレー ネグラ
住所 杉並区高円寺南3-48-3
電話 非公開
営業時間 12:00~22:00
定休日 月曜〜水曜(イベント出展時は臨時休業あり、SNSでご確認ください)

蛇足ながら、もし今回歩いたあたりで「暗渠飲み」がお望みなら、旧宝橋付近のこのあたりはいかがでしょう。暗渠沿いに、焼き鳥屋、しゃぶしゃぶ専門店、個性的な店主が切り盛りする不思議な居酒屋などが揃い、充実な「暗渠飲み」を楽しめるのでオススメです。

※本記事に掲載している情報は2018年8月6日公開時点のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。